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2017年9月19日 (火)

神経質礼賛 1427.肘外に曲がらず

 拙著を希望されたWさんからお手紙をいただいた。Wさんはかつて鈴木知準診療所で入院森田療法を受けた御経験があるそうで、その際、知準先生から言われた「肘外に曲がらず」という言葉の通り、どうにもならないと観念し今を夢中になってやっているうちに、症状のあるなしを問わない生き方が身についていったとのことである。この言葉は、日本の禅文化を世界に紹介した仏教学者の鈴木大拙師(1870-1966)が見性(けんしょう:自己に備わっている本性を見究めること)体験した時の言葉ということだ。知準先生の治療を受けた、いわゆる「鈴木学校」経験者の方々からは、いろいろと貴重な御経験を聞かせていただき、大変ありがたい。

 肘外に曲がらず、当たり前じゃないか、と言われるかもしれない。その通り。正常な人間の場合、肘を外に曲げることはできない。もし外に曲げることができて自由自在に動かせれば便利かもしれないが、それはかなわないのだ。この言葉は森田療法の「あるがまま」に通じると思う。神経質者は、人前で緊張せず赤面もしないことを望んだり、どんな日でも熟睡することを望んだり、不安をすっかりなくしたいことを望んだり、と、ないものねだりをしがちである。そして不可能の努力をするのであるが、それは肘を外に曲げようとするのと同じことであり、不可能なことなのだ。不安も緊張も自然なことであって、どうにも仕方がないものとあきらめて、目の前のやるべきことに取り組んでいくのが森田療法である。そして行動を積み重ねていくうちに、結果として、いつしか不安も緊張も気にはならなくなっているのだ。

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コメント

「肘外に曲がらず」。初見の言葉でしたが、寸鉄岩を穿つです。慣用句になるほど森田療法の教えとともに人口に膾炙して欲しいです

たらふく様

 コメントいただきありがとうございます。

 その通りですね。森田先生やそのお弟子さんたちの名言が、悩める神経質者を目覚めさせるきっかけになってくれたら、と思います。

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