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2017年9月22日 (金)

神経質礼賛 1428.逃げずに目の前のことを一生懸命やる

 3日前、パソコンのブラウザのスタート画面に興味を引くニュース記事があったので読んでみた。記事の出所は週刊女性PRIME。京菓子の老舗・笹屋伊織の女将の田丸みゆきさんの話である。嫁いだ時、店は傾きかけていたが、今では売上は当時の7倍、従業員数も3倍になったという。その田丸さん、中学時代は極度の「あがり症」で、授業中に先生からさされただけで冷汗が出てパニックになっていたそうである。しかし、周囲からはできる子と評価されていた。これは自己評価が低い神経質人間にはよくあることだ。心配性の田丸さんは「受験で失敗したらどうしよう」と極度に心配してランクの低い高校を選んでしまった。高校入学後、そんな自分を不甲斐なく思っていたが、周囲からは、明るくスポーツが得意で勉強もよくできる子と見られていた。ある時、ラグビー部の男子部員と話をしていて、その子は勉強ができなかったけれど、ラグビーの強豪校に入りたくて一生懸命勉強して今の高校に合格できたと聞いて、自分は卑怯で逃げていて、不満ばかり言い、先生や親のせいにして被害者ぶっていた、と気付いた。それからは、逃げずに今、目の前にあること・できることを一生懸命やろうと決心したそうである。あがり症を克服しようと、短大時代にはラジオ番組やTV番組のアルバイトに挑戦した。証券会社に就職し、その後いくつかの仕事を経験しているうちに、あがり症はどこかに行ってしまったようだ。最初の証券会社の縁で、現在の夫と知り合い、老舗の京菓子店に嫁いだ。決して順風満帆に事が進んだわけではなく、失敗や挫折も少なくなかったが、ピンチの際には逃げずにできることを一生懸命にやる、という方針を貫き通した。今では商売がうまくいっているばかりでなく、TV番組のコメンテーター、講演会の講師として引っ張りだこになっているという。

 以前、俳優の竹中直人さんが、恥ずかしがりだったことを書いた(484)し、萩本欽一さんも極度のあがり症だったことも書いた(1061)。対人恐怖の人は自分ばかりが苦しい、と思いがちだが、実はTV番組で大活躍しているような人の中にも対人恐怖の苦しみにさいなまれていた人はいるのである。大事なことは、苦手な場面で退却せずに、苦しいまま仕方なしにできることをやっていく。それを積み重ねていくことである。失敗や挫折はあっていい。行動を続けていれば、失敗や挫折は逆に肥やしになる。そして、成功しても思い上がらないのが神経質の美点であり、完全欲を活かして、ますます発展できるのだ。

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コメント

前に御本の件でお世話になったものです

私は対人恐怖はないのですが中年になってから
演奏の本番恐怖症?になってしまいました。
(練習なら皆さんの前でもなんともないのです(笑))

趣味なのでやめてもいいのですが、
音楽は好きなのです。

また本番直前ですが
本番時もその時その瞬間、自分なりにベストを尽くし、楽しめるようにようにがんばります!

いつも
ためになる話ありがとうございます
これからも楽しみにしています!

フルート奏者 様

 コメントいただきありがとうございます。
 以前、譜面台の件でお教えいただきましたね。
 私は現在では、病院の行事の際に職員や患者さんたちの前で弾くだけなのですが、けっこう緊張してドキドキするものです。失敗したらどうしよう、と不安にもなります。うまくやりたい、という神経質ゆえの完全欲からかもしれませんね。いつも多少ミスは出ますけれど、あれこれ考えて準備するのは楽しいし、終わってみると「やってよかった」と思えてきます。それで、頼まれると毎度引き受けてしまいます(笑)。
 今、本番前で練習に頑張っておられることと思います。一生懸命練習したら、本番はなるようになります。緊張は自然なことで悪いことではありません。逆に気が緩んでいたら大失敗します。夢中で演奏しいるうちに緊張は気にならないようになってきます。良い演奏会になることをお祈りいたします。

四分休符先生

ありがとうございます
(先日譜面台に乗せすぎてたのを、娘が倒してしまい、地べたに座っていた私の頭に直撃しました!傷にはなりませんでしたが(笑))

そうですね。先生も同じお気持ちだと思うと勇気が出ます。

音楽の部活を熱心にやっている娘(この子も緊張しい)に「本番緊張しないの?」と聞いたのですが「もう失敗しても仕方ないし」と。

毎日必死に練習して、本番も無我夢中だからこそ出る言葉。目の前のことを一生懸命やってるんでしょうね。


今回の私の曲は
四分休符より短い休符しかない曲です。
息うまく吸えるかな?
でも不安なまま練習に励みますね!
お返事ありがとうございました!

フルート奏者 様

 お嬢様も楽器をやっておられるのですね。実にすばらしいことです。譜面台倒し、やってしまいましたか(笑)。
 八分休符や十六分休符あるいは三十二分休符ばかりの曲となると、楽譜が真っ黒の超難曲ですね。管楽器では息をつく暇もなさそうです。そういう難曲ではプロだって往生します。曲に対する気持ちが聴衆に伝われば十分なのではないでしょうか。

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