神経質礼賛 1434.コーヒーの香り
朝、出勤すると通路にコーヒーのいい香りが漂っている。先月、本格的なコーヒーの自動販売機が設置されたためである。豆を挽いて作る機械で、エスプレッソやカプチーノなどが楽しめる。朝の仕事前に1杯飲んで気合いを入れる人もいれば、昼食後に飲んで休息する人もいる。1杯50円ながら原価は90円するそうで、不足分は福利厚生費で賄っているらしい。私はそれほどコーヒー党ではないけれども、香りに誘われて時々飲んでいる。カプチーノやカフェラテを選ぶと、最初にミルクだけが出てくるので、ちょっと心配になるが、その後おもむろに濃いコーヒーが注がれて出来上がる。味も香りもなかなかである。100円玉が使えない機械なので、いつでも飲めるように50円玉を集めて用意しているのは神経質ならではである。
私はコーヒーの味にはさほどこだわらない。少し酸味を感じる方がいいかな、という程度だ。ただ、香りはしっかりしているのがよい。だから、喫茶店で頼むのは夏でも冬でもホットのブレンドコーヒーである。コーヒーの香りを意識したのは3歳の頃だ。街のヤマハ音楽教室に通っていて、その近くに確か「ラ・メール」という名前の喫茶店があって、いつも前を通るといい香りがして、子供心に「何の匂いなんだろうか」と気になった。この記憶は、ラヴェル作曲「ボレロ」の冒頭のフルートの旋律となぜか一体になっていて、これから素敵なことが起こるのではないか、というあこがれの気持ちを呼び起こす。もっとも初めて飲んだのはインスタントコーヒーで小学校4年の時。喫茶店のコーヒーに至っては高校生になって弦楽合奏部の先輩に連れられて名曲喫茶「白鳥」に行ったのが最初であるから、かなりオクテである。
コーヒーの香りには、気分をリラックスさせる効果と集中力を高める効果がある。ただし、豆の種類によって差異があるそうで、豆の種類と脳波の変化の関係を調べている研究者もいる。私にとっては、どれもいい香りに思える。換気扇からタバコの煙の臭いがするような喫茶店には絶対に入らない。せっかくのコーヒーの香りが台無しである。
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