神経質礼賛 1445.緊張はあってよい
昨日NHK-FMをかけていた。夜8時20分にリサイタル・ノヴァという番組になり、クライスラー作曲の「中国の太鼓」が流れていた。その後、演奏者の中村友希乃さんという若手ヴァイオリニストのインタビューになった。中村さんは海外のコンクールで優秀な成績を収めているという。「コンクールでは緊張すると思いますが、緊張をほぐす方法って何かありますか」という質問があった。それに対して中村さんは「海外の優秀な演奏者たちのアーカイブビデオを見ると、ああ、この人も緊張しているんだなあ、だから緊張するのは普通だし、緊張して悪くないんだ、と思うようになりました」というような発言をしておられた。番組ホームページには中村さんの写真とともにインタビューの7つの質問と回答が紹介されているが、残念なことにこの質問と回答は載っていない。緊張に悩む人にとても役立つ貴重な話なのに。
緊張については、今まで当ブログに繰り返し書いてきた。私自身、若い頃は対人恐怖にひどく悩んだし、人前で激しく緊張するのは今でもある。一流のピアニストやヴァイオリニストだって演奏会では緊張するものだし、俳優やお笑い芸人も同様なのである。緊張するのは正常な反応であって、緊張しないような時には、調子が悪い時だったり、大失敗をする時だったりするのだ。
ところが、神経質人間はともすれば、自分ばかりが緊張して情けない、何とか緊張しないようになりたい、と「不可能の努力」をしているうちにますます注意が自分に向いて緊張を強めてしまうのである。誰もが緊張するのだし、緊張はあってよいのだ、と緊張を消そうとせずにそのままにしておくのがよいのである。
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