神経質礼賛 1453.マスクの使い方いろいろ
例年、スギ・ヒノキ花粉の時期やインフルエンザ流行期にはマスクをしている。今年は病棟内で風邪が流行ってしまい、病棟に入る時にはマスク着用になっている。病原体や異物が入るのを防ぐとともに自分が持っている病原体を排出しないというのがマスク本来の目的なのだが、ちょっと違った使い方をする人がいる。
精神科の患者さんの中には幻覚妄想症状のある人がいて、症状が悪くなるとサングラスとマスクを着けるというケースを見かける。幻聴などの幻覚は本人の脳の中で起きている現象なのだが、本人にとってはリアルな体験であり、外部から何かが侵入してくるように感じられる。それゆえ、サングラスやマスクさらには帽子などで外部からの侵入を防いで安心を得ようとする心理はよく理解できる。
マスクの美容効果に目を付けて利用している人たちもいる。顔の皮膚の乾燥防止に有効なのは確かだろうし、紫外線から肌を守る効果もあるだろう。単にスッピン隠しのためという人もいるそうだ。
若い女性の間では、普段からマスクをするのが流行っているという。小顔に見せるためとか「マスク美人」になるためとかいう。見えない部分は脳が勝手に想像して補完するため、例えばいつもマスクをしている歯医者さんや歯科衛生士さんは皆、美男・美女である。平安時代、宮中の女性たちが大きな扇で顔を隠していたのも単に礼儀作法というだけでなくマスク効果による美を追及したことも考えられる。色とりどりの十二単をまとい、顔を扇で覆った女性が並んだ様はさぞ見事だったことと思う。そう言えば、40年位前に流行った「口裂け女」という都市伝説もあったなあ、と思い出す。
もしかするとマスク美人目的でマスクする人の中には、対人恐怖や醜貌恐怖の人が混じっているかもしれない。マスクが他の人との心理的距離を大きくして威圧感を感じにくくするとか劣等感解消に役立つとかの効果をもたらすだろうけれど、顔の表情が見えないと会話が盛り上がりにくい。また、本人だと気付かれずに見落とされる可能性もあるだろう。その結果、損をすることもありうる。人は仕事に打ち込んでいる時はきりっと引き締まって美しく見えるし、笑顔の時には親しみ深く美しく見えるえものだ。マスク美人より仕事美人・笑顔美人を目指してほしいものだ。
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