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2018年1月12日 (金)

神経質礼賛 1465.一枚の年賀状

 4年ぶりにAさんから病院に年賀状が届いた。消印は1月9日付。52円で送れる限度の7日を過ぎているため十円切手が貼ってある。かつて、双子で生まれたお子さんたちを抱いた写真の年賀状をもらったが、それから二十年。大学生になり大人びた二人が写っていて、近況が細かい字でびっしりと書き込まれていた。強迫の確認行為のため、何をするにも時間がかかる人であるから、年賀状が届くのはいつも1月中旬だったなあと思い出す。お元気そうだし、お子さん方も立派に成長している様子で安心した。こちらも十円切手を貼った年賀状を送る。

 Aさんは私が研修医の頃、浜松医大に入院した人である。森田療法を受けていたが、感情のコントロールが困難な人で、大爆発を起こして治療半ばで退院して行った。その後、主治医が転勤になり、私が引き継いだ。Aさんの行く先々では様々なトラブルが起き、外来に来るAさんの感情の嵐をただ受け流すほかなかった。私が大学の助手を辞めて現在の病院に転勤になってからは他のいくつかの病院に通院していたがどこも中断し、遠路はるばる御主人と子供さんたちを連れて私の外来に来ることが何度かあった。訴えの主題は日常生活でいかに自分が苦労しているか、夫がいかにズボラで非協力的かという2点であり、そのうち夫を非難して夫婦喧嘩を始めるのだった。一旦診察が終わっても、何度も診察室に入ってきては確認を求めていた。やがて、受診することはなくなった。

強迫は今もあるけれども、子育てをしていく中でだんだんと感情のコントロールができるようになっていったのだろうと推測する。ある意味、子供に育てられて親も成長する。そして、医者も患者さんに育てられて成長するのである。

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