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2018年2月19日 (月)

神経質礼賛 1477.駿河の白隠さん

 土曜日の午後は年1回の精神保健指定医会議の日だった。午前の仕事を終えてから少し時間があったので、駅前の市立美術館に立ち寄った。「駿河の白隠さん」と題して、今年没後250年を迎えた白隠禅師(388)の書画が展示されていた。おなじみの達磨図・釈迦図・観音図をはじめ親しみやすい布袋図・大黒天図などが年代を追って展示されているのでわかりやすい。書はどれも力強い筆遣いで書かれていて、神経質の書とは思えない。出口近くに私が好きな「動中工夫勝静中百千億倍」(150)の書があった。「中」の字が中央を太く長く貫いていて、「考えているだけではダメだ、実際に行動せよ」と檄を飛ばしているようにも思えてくる。

 今回の展示では、晩年、駿河小島藩での惣百姓一揆を無血で収めたエピソードが紹介されていた。白隠はかねてから大名の贅沢な生活や参勤交代行列の無駄を批判していて、それについて書いた書物は発禁処分となっている。小島藩は現在の旧静岡市・旧清水市にまたがる1万石の小藩であるが、多額の借金を抱え、農民から重税を搾り取ろうとしていた。農民たちの窮状を知った白隠は藩主に節約して農民を苦しめないよう忠告したが改めなかったため、一揆が起きてしまう。しかし、最終的には白隠のとりなしでうまく収まったというのだ。寺に籠って座禅して説教するだけの禅僧ではなく、人々の幸福のためには命を惜しまず行動する人だったのである。

 美術館を後にし、強い西風に向かって歩き、会場に入る。例年通り、県のお役人様のお話を拝聴し、さらに「措置入院制度改革を巡って」という講演を聴く。例の相模原事件を受けて、法改正が近々ある予定なのだが、所詮は事件に迅速に対応しましたと恰好を付けたい政治家にせっつかれて現場の実情を知らないお役人様がこしらえるものだから、問題山積である。本当に当事者のためになるのか、医療現場は疲弊するばかりではないか、という懸念もある。為政者が保身第一で民のことを考えないのは白隠さんの時代も現代も大差ないのではという考えがふと浮かぶ。

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