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2018年3月30日 (金)

神経質礼賛 1490.人前で楽に話をするには

 昼食後に職員食堂の給茶機でお茶を入れていたら、あるケースワーカーさんから「大勢の前で話すのはやっぱり緊張しますよ」と話しかけられた。院内の会議では司会者をしている人だし、弁が立つ人なのだけれども、患者さんや外部団体の方々が大勢集まっての会合で話をする際に緊張されたとのこと。人前で楽に話をするにはどうしたらいいだろうか。そんな方法があったら、彼と違って話下手な私がまず知りたいところである。森田正馬先生が故郷の高知で座談会を行われた際、参加者が同じような質問をしている。


 
吉本氏 私は人前で話をするのが、苦痛で困りますが、どうすれば楽に話をする事ができるようになるでしょうか。

森田先生 ここに、人前で話が楽にできるような人が、幾人あるか。もしこの質問に同感の人が、二、三人もあればお話ししてもよいです。(一同に問いただしてみるに、人前で話が苦痛でない人はいない。)

森田先生 それでは、これはみな共通の人情であると思われるから、取りたててお話をする必要はなくなったのです。(大笑)苦しい事は誰も苦しいというのを平等観といいます。ただ自分一人が、特別に苦しくて、他の人はみな平気であるという風に考えるのを差別観といいます。神経質は自己中心のために、なかなかこの平等観の修養ができにくいのであります。(白揚社:森田正馬全集 第5巻 p.571-572


 残念ながら人前で楽に話す方法は存在しない。自分だけが人前で話すのが特別苦しい、それを楽にする方法はないか、とまず考えてしまうのが神経質人間にありがちのことである。誰もが緊張するのだから、楽に話せるようにしようという不可能な努力はやめて、神経質らしく、できる準備はした上で、本番では緊張しながらも一生懸命話せばそれで十分である。そして、人は本人が緊張していることを気にも留めないものである。

2018年3月26日 (月)

神経質礼賛 1489.シジミ汁

 先週は3月下旬だというのに静岡県東部で雪が降る日があって富士山も雪で化粧し直している。今週は一気に春本番の気温になると予報されている。夕食にシジミ汁が出る。シジミは年中売られていていつが旬なのかについては諸説あるけれども、俳句の世界では春の季語なのだそうだ。シジミ汁はあまりいろいろな具を入れず、せいぜい刻みネギくらいで、シジミの美味しさを楽しむ場合が多いと思う。飲み方は、汁だけすすって貝はそのまま残す派と貝殻から身を取って食べる派とに分かれる。アサリと違って小さいから外して食べるのは手間がかかる。汁に旨み成分が十分出ているからわざわざ身を食べなくても、というのが残す派の主張だろう。神経質な私は一つ一つ殻を外していき、最後に身を食べながら汁をすするのが常である。楽しみは最後に残し、旨みも栄養も余さずいただくのである。


 シジミ汁は古くから二日酔いに良いと言われてきた。最近はシジミに含まれるたんぱく質のオルニチンがサプリメントとして売られ、あるいはドリンク剤にも配合されている。肝臓にいいとか滋養強壮効果を謳っている。実際にどれだけ効果があるかはわからないけれども、シジミの栄養成分を見るとビタミンB2、B12が豊富に含まれているし、ミネラルでも鉄分や亜鉛やカルシウムがたっぷりである。サプリではなく食品として時々おいしく飲みたいものだ。

2018年3月23日 (金)

神経質礼賛 1488.玄関トイレ

 週末の新聞チラシには不動産関連のものがたくさん入ってくる。その中に安い価格帯の新築分譲住宅を多数載せている地元の住宅メーカーのものがある。このメーカーの間取りは特徴的で、必ずトイレが玄関にある。これは私だったら嫌だよなあ、と思う。小学生の時、父の転勤で2DKのアパートに引っ越した。そこは玄関に入ってすぐにトイレだった。トイレに入っている時に来客があって、母が長話をしようものなら、気になってトイレ内でフリーズしているしかなかった。その後、また転勤で元の地に戻り、間もなく家が建て替えになった。今度は風呂場・洗面所と隣接するトイレだったから、それほど来客を気にしなくて良い代わりに、誰かが入浴している時はトイレを使いにくいという難点があった。水回りを近くに集める必要やリビングからの視線に入らないという条件からすると、トイレの位置はある程度限定されてしまう。それにしても、私だったら玄関トイレは絶対に嫌である。現在の自宅の場合、トイレは階段横で、洗面所・浴室とは隣接するがドアは独立して廊下につながっていて、誰かが入浴中でも気兼ねなく使えるようにしてあるのは私が神経質であるからに他ならない。

 アパートや狭いマンションだとどうしても玄関トイレになってしまうが、小さくても一戸建てだともう少し間取りの自由がきく。玄関トイレについては賛否両論があるようだ。私と同様、来客が気になるから玄関トイレは避けたい、という人がいる一方で、「外出前や帰宅してすぐ行きたい時に便利」「リビングから離れているから良い」という人もいる。トイレの間取りにはその住宅の所有者の神経質度が反映されるかもしれない。

2018年3月21日 (水)

神経質礼賛 1487.軽うつに抗うつ薬は不要

 読売新聞のサイトの中にyomiDrというコラムがあって、「その医療ホントに要りますか?」という記事が掲載されている。一昨日の記事は「抗うつ薬は8割の患者に無意味!?」というテーマだった。抗うつ薬の最大のライバルはプラセボ(偽薬)であることは以前に書いた通りである。代表的な某抗うつ薬で60%の人が治ったというデータの陰にはプラセボでも42%の人が治っているという事実がある。製薬会社は開発した抗うつ薬が有効であることを治験で証明するのに苦労していて、投与条件をあれこれ工夫してどうにか統計的にプラセボより優れているというデータを作り出しているのが現状である。日本うつ病学会でも、軽症うつ場合、プラセボに対して有効性を示せる抗うつ薬は存在しないという見解を出している。今回の記事の中で、独協医大の井原裕教授は、薬物療法よりも、適度な運動をしてアルコール摂取を控えるといった生活習慣を整えることで自己回復力を高めるのが大切だと説いておられる。


 本当にエネルギーが枯渇したような古典的うつ病の患者さんは増えていない。うつ病の患者さんが増えたのは、うつ病の診断範囲が大幅に広くなり、従来で言えば抑うつ神経症や単に環境要因から抑うつ気分を呈している人まですべてうつ病にしてしまうからである
(458)。精神科外来には私よりもずっと元気な「自称うつ病」の人もやってくる。古典的なうつ病の場合、とにかく休養し、薬の治療を行うことは今も変わりない。しかし、軽症うつ病、現代型うつ病、新型うつ病と言われるような人に抗うつ薬を投与しても効果がないばかりか焦燥感を高めたり易刺激性や攻撃性を出現させたりするなど有害である場合もある(684)。そして、場合によっては休養よりも、仕事上の不満について上司ときっちり話し合うことの方が有益ではないかと思われるケースもある。特に神経症に伴う抑うつ症状は休んでは逆効果ということもあり得るのである(312313)


 うつは心の風邪とも言われる。風邪をこじらせて肺炎レベルになってしまったら抗生剤が必要であるが、通常の風邪には抗生剤は不要であるばかりではなく有害であり、最近は抗生剤を投与しないのが常識となってきた。解熱剤も免疫の働きを抑えるのでなるべく使わない方が治りが早い。摂生して自己回復力による自然治癒を待てばよい。多くのうつも同様である。

2018年3月19日 (月)

神経質礼賛 1486.回覧板置場

 町内の回覧板を回す場合、隣家に置く時、どこに置くか悩む方がいるかもしれない。ポストに入れてしまうと新聞配達や郵便配達の人が困るだろうから、雨で濡れない場所であれば、玄関ドアの横に立てかけて置くことが多いかと思う。母の家は安全のため一切ドアがなくすべて引戸にしてあり、玄関も例外ではない。玄関脇のポストはかなり大きなものにしてあって、郵便物や新聞だけでなく回覧板も十分に入る大きさである。ところが、どういうわけか、いつも引戸の横に置いてくれてあって、引戸を開けると回覧板もズルズ動いてしまい、具合が悪い。

 そこで、回覧板置場を作ることにした。百円ショップで何かいいものはないかと物色する。文具コーナーには小物整理用のカゴ、台所用品コーナーにも調味料やペットボトルなどを整理するためのカゴが見つかる。どちらもおあつらえ向きだけれども、両方とも底の部分には穴がないので、もし横から雨が吹きこんだら少し水が溜まってしまう。そこまで心配するのが神経質である。結局、文具コーナーで書類やファイルを整理して立てて置く物を見つけた。これならば底の部分も穴が開いているから水が溜まるおそれはない。そして、長さ30cmの結束バンドを購入。百円で30本も入っている。書類立てには「回覧板」とネームシールを作って貼り、ポストの足2本に結束バンドで固定して完成である。こうしたちょっとした工夫は楽しいものである。

2018年3月16日 (金)

神経質礼賛 1485.トイレ恐怖

 精神科の外来にはトイレ恐怖を訴える人が時々みえる。トイレ恐怖には何種類かあると考えられる。

まずは、トイレが間に合わないと困ると思って頻回に行ってしまう場合。これは、神経質な人にはありがちのことかと思う。心配性の私も子供の頃から、行ける時に行っておかないと大変なことになるかも知れないと思って、学校の休み時間には必ずトイレに行く習慣があったし、バスでの遠足の際にはトイレ休憩の時には行きたくなくても全て行っていた。入学試験の時は言うまでもない。これは単なる心配性であって実害はないばかりか、不測の事態への備えになる。

別のパターンは一種の対人恐怖に関連するもので、誰か他の人が入ってくると用を足せなくなるというものだ。特に男性の場合、小用の際、横に人が来ると緊張してしづらくなる。これはわからないでもない。社会不安障害(社交不安症)の症状評価に用いられるLSAS-JLiebowitz Social Anxiety Scale日本語版)の質問24問の中にも「公衆トイレで用を足す」という項目がある。昔の公衆トイレでは男子用は横に長い溝があるだけのところがよくあって、臭いも強烈な上に、他の人がすぐ横ですると丸見えなので、入るのに躊躇する所もあった。今では随分清潔になった上、便器もある程度横からの視線を防げるようになっている。横に人が来たからといって用を足さずに退却するようではいけない。気にはなっても、時間がかかってもいいから逃げないことだ。

厄介なのが、不潔恐怖のために公衆トイレが使えないという場合。やむを得ず使ってしまうと、不潔になってしまったということで、長時間の入念な手洗いも含めて不潔を振り払うための不合理な儀式をしなくてはならなくなる。この儀式をやり始めたら儀式はどんどん拡大し時間や労力を費やして日常生活に支障をきたすようになる。気にはなっても不潔を振り払う儀式はガマンして、そのまま次の行動へと移って行くことが肝要である。

2018年3月12日 (月)

神経質礼賛 1484.窓フィルム

 今、母が住んでいる小さな家の隣は、元は蒲鉾工場だった。敷地境界一杯にコンクリート造りの倉庫が建っていた。一昨年、工場が廃業となり、解体整地後に大手住宅メーカーの新築住宅用分譲地となった。倉庫の解体の際にはシートで覆われていたが、文字通り目と鼻の先であるから、コンクリート片が多数、家の外壁に当たったらしく、あちこち傷だらけになった。修理してくれることにはなったけれども、いくつも直っていないところを見つけて再交渉する必要があった。コワモテの解体屋さんとの交渉はドキドキものだった。泣き寝入りするわけにはいかないので、しっかり主張して全部直してもらった。それから1年経たずして買手がついて、4カ月ほどで家が建って、新しく住む方が挨拶にきた。

 母の家は2DKながら、高齢の母が使いやすいように1階と2階にトイレがある。1階のトイレ窓は新しい隣家の駐車場に面することになり、2階のトイレ窓は隣家のベランダに面することになる。透明ガラスではなく、細かい凹凸のある「かすみ」ガラスではあるけれども、見えるのは嫌だという。そこで、昨日、ホームセンターへ行って、窓フィルムを買ってきた。窓フィルムは糊が付いているタイプ、水で濡らして貼るタイプなどがある。今回選んだのは水なしで貼れて、剥がして再利用可能なもので、白いスリガラスのように見えるフィルムである。窓のガラスのサイズは幅70cm・高さ67cm。売っているフィルムは92cm×90cmまたは180cmで、2枚分作るには180cmの方が割安なので、そちらにした。床にフィルムを広げて30cmの定規と金属製の巻尺を使ってボールペンで線を引く。念のため測り直して確認してからハサミで裁断する。フィルムを母の家に持って行き、窓を拭いてきれいにしてから貼り始める。ここは神経質の本領の発揮場である。シワが寄って、なかなかうまくいかないが、何度もやり直して丹念に空気が入らないようにしながらようやく貼れた。2枚目は慣れたためか短時間で貼ることができた。ついでに網戸の汚れも掃除機できれいにしておいた。こういうちょっとした手間仕事も片付けてしまえば気持ちが良いものである。

2018年3月 9日 (金)

神経質礼賛 1483.増量パック

 スーパーやホームセンターで買物をしていると、増量パック商品に目が行く。洗剤、歯磨きで「10%増量」とか「20ml増量」とか書いてあるのを見つけると、お得感をそそられて、ついつい買ってしまう。浄水器のカートリッジの場合、2個パックに同じ値段でもう1個付いてくる。1年の間に何度か増量パックが出回るので、それを狙って買っていけばランニングコストを下げられる。常用している雑貨の定番商品の場合、消費期限の問題が少ないので、増量パックは確保したい。ただし、調子づいて2mとか5m増量のアルミホイルを買い過ぎると古くしてしまい、錆びて白く変色することがあるので注意が必要である(595)

 食品ではインスタントコーヒーの10g増量ビンが目につく。ただ、考えてみれば、以前は100gビンが普通で、贈答用詰め合わせが見た目の本数を増やして派手にするため80gビンだったものが、いつの間にか90gビンが普通になり、さらに近頃では80gビンが普通になってしまった。メーカーに言わせれば「新鮮なうちにおいしく飲んでほしい」ということになるのだろうけれども、実売価格は変わらないから、実質的には隠れ値上げになっていたのである。このところの原材料高をやりくりするため、商品の減量により隠れ値上げをしているのはインスタントコーヒーばかりではない。デフレが続くからという口実で「デフレ脱却のためにマイナス金利」という将来にツケを回すようなデタラメな政策が続けられているけれども、食品に関して言えばデフレどころか確実に実質値上げされている。簡単には騙されない賢い消費者、そして賢い有権者でありたいものだ。

2018年3月 5日 (月)

神経質礼賛 1482.卒業シーズン

 土曜日、半日で仕事を終えて帰宅する途中、卒業式を終えて駅の方に向かう高校生の一群とすれ違う。みな、卒業証書が入ったケースと花を手にして明るく話しながら歩いている。進学や就職で、これからの新生活への夢を膨らませているのだろう。

 私くらいの世代は今月末で定年退職を迎える人も少なくない。これもまた卒業である。ここ半年ほど、節目の年ということで、中学、高校、最初の大学の同窓会が続いた。公務員や教員だと退職後の受け皿となる機関があったり、同じ職場で嘱託やパートで仕事を続けたりする場合も多いようだ。一般企業だとそうはいかない。企業側で事前に退職後の生活設計の相談に乗ってくれるらしいが、なかなか思うような再就職先がみつからなくて、とりあえず失業保険をもらいながらのんびり探してみるよ、という声も聞く。「その点、お前はいいよなあ」と言われてしまう。民間病院の勤務医には退職金がない場合もあるという事実はあまり知られていない。ともあれ、働けるうちは何とか働き続けたい。そして、仕事から引退して卒業となっても、森田は卒業にはならない。生涯森田である。かつて、師の大原健士郎先生から受けた森田療法に関する御指導はたった一言「お前が患者さんのお手本になるように行動していくんだよ」。まだまだ神経質のお手本とはお世辞にも言えない。永遠に修行中の小僧である。

2018年3月 2日 (金)

神経質礼賛 1481.ひなまつり

 明日は3月3日ひなまつりの日。病院でもひなまつりのレクリエーションがあり、各病棟を回っていると、職員や患者さんたちが飾り付けの準備をしたり、踊りの練習をしたりしている。

 ひなまつりと言えば、まず、童謡のサトウハチロー作詞「うれしいひなまつり」が頭に浮かぶ。正直言って、子供の頃、暗い歌だなあ、と思っていた。日本古来の雅な陰旋法(ミ→ファ→ラ→シ→レ→ミ ミ→ド→シ→ラ→ファ→ミ)に乗ったような旋律だから短調として聞こえる。歌詞も、官女の雛人形の顔から「お嫁にいらした姉さま」を思い出す一節は寂しげな空気を醸し出している。三木露風作詞「赤とんぼ」の歌詞「十五でねえやは嫁にゆき」と同様、嫁に行ったら他所の家の人になって会えなくなる、という感覚は現代人にはない。嫁に行ってもいつでも実家に帰って親兄弟と食事を共にする時代である。しかし生活様式が大きく変化しても、この歌は名歌であることは間違いないし、これからもずっと歌い継がれていくことだろう。

 近年の少子化で雛人形の業界は苦労している。森田正馬先生の奥さん久亥さんのように雛人形の大人買いをする人もそうはいない。

 吾妻は 四十路になれど 雛買ひて 嬉しがるなり 昔語りして(白揚社:森田正馬全集第7巻p.442

口では「年甲斐もなく雛人形なんか買って」と言いながらも、喜ぶ久亥さんを目を細めながら見ている森田先生の姿が浮かんでくる。女の子がいない森田家も華やいだ雰囲気に包まれたことだろう。

 わが家には小さい地味な雛人形があって玄関の下駄箱の上に一週間ほど登場する。それを見ると春だなあと感じる。さらに、一昨年、妻がもっと小さなガラス製の雛人形を買ってきて、ピアノの上に年中置きっぱなしにしている。上手い人がバンバン弾いたら人形が飛び跳ねたりひっくり返ったりしそうだが、妻ではその心配は全くないので安心である。

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