神経質礼賛 1508.スヌーピーの作者は神経質
私が中学生の頃、同じ学年にスヌーピーのキャラクターグッズを沢山持っている男の子がいた。彼の周りには「わー、可愛い」「これ、いいなあ」と女の子たちがよく集まっていたものだ。彼は小柄で痩せていて神経質な人だった。親の後を継いで小児歯科医になっている。私はスヌーピーが登場する漫画はそれほど読んでいないが、医学生新聞に転載されていたものは印象に残っている。それは、主人公でスヌーピーの飼い主であるチャーリー・ブラウンの友達が抗ガン剤の治療を受けて髪の毛が全部抜けてしまったのを見て、クラスの男の子たちが坊主頭になって励ますというような、いい話だったように思う。
先週の火曜日、NHKのアナザーストーリーズという番組でスヌーピーの作者チャールズ・シュルツ(1922-2000)を扱っていた(今夜BSプレミアムで再放送される予定)。シュルツの父親は貧しいドイツ移民の床屋だった。シュルツは内気ながら勉強はよくできて2年飛び級したが、年上で体の大きなクラスメイトたちから仲間外れにされてしまう。高校を卒業してから漫画を投稿するが採用されなかった。しかし、ボツになってもめげずに投稿を続け、負けず嫌いさが出てくる。第2次世界大戦従軍後、アートスクールで働きながら漫画の投稿を続け、ついに地元新聞に掲載される。さらには全米の新聞に連載となり、世界中の雑誌に掲載され、アニメ化もされ、キャラクター商品も売り出されるようになった。主人公のチャーリー・ブラウンがシのュルツの分身であることはシュルツ自身認めていたという。チャーリー・ブラウンの野球チームは負けっぱなし。その原因を作っているルーシーからはいじめられ、責任を押し付けられる。野球に限らず、思うようにならない困ったことが次々起こる。その困ったことに対処していくのが漫画のテーマになっていると評されている。「人生はうまくいかない」と嘆きながらも仕方なしに行動していくのは作者自身の姿でもある。チャーリー・ブラウンが憧れている「赤毛の女の子」は、シュルツがプロポーズして断られた同僚女性がモデルなのだそうだ。この赤毛の女の子は顔が描かれることはほとんどなく、長いこと登場しているという。内気でも負けず嫌いで失敗にこだわるシュルツは神経質だったことは間違いない。神経質の粘り強さのおかげで、亡くなるまで50年の長きにわたり、スヌーピーとチャーリー・ブラウンが活躍する漫画「ピーナッツ」を描き続けることができたのだろうと思う。
« 神経質礼賛 1507.仕事のよくできる人はかえって自分ではよくできぬと思っている | トップページ | 神経質礼賛 1509.潰せ »
« 神経質礼賛 1507.仕事のよくできる人はかえって自分ではよくできぬと思っている | トップページ | 神経質礼賛 1509.潰せ »
コメント