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2018年6月25日 (月)

神経質礼賛 1519.薬が多過ぎる

 先週末は神戸で開かれた精神神経学会に行ってきた。専門医資格更新のポイントを取るために、5年間に2回は参加して、3日間ひたすら講演やシンポジウムを聴くことになる。狭い所に長時間じっと座っているとエコノミークラス症候群になりはしないかと心配である。


 例年、会場の外で、反精神医学の人たちがビラ配りをしているのに出くわす。今回は会場横の市民広場に「過ちを繰り返す精神医学 歴史を知ろう!実態を知ろう!~強制不妊手術から発達障害バブルまで~」と題して大きくパネル展示をしてあった。かつてのナチスへの加担やロボトミー手術、そして薬漬けの問題を糾弾していた。


 薬が多過ぎるのは精神科だけの問題ではなく医療全体の問題でもある。最近は
90歳前後の認知症の方の入院をお受けする機会が増えている。身体的合併症がいろいろとあって、内科、整形外科からもらっているという薬が十種類以上ある方は珍しくない。そもそも、こんなにたくさんの薬を本当に服用できているのか疑問である。さらに、眼科からの点眼液、皮膚科からの軟膏など、外用薬も大量に処方されていたりするので、薬の整理に一苦労する。精神科に入院してこられる認知症の方は不眠・易怒・易刺激性・妄想・暴力・徘徊などの周辺症状(BPSD)が激しいため家庭や施設で対処しきれずに入院となる。よく処方されている「認知症の薬」と称する薬剤は精神症状を悪化させるリスクが高いので、他の医療機関から処方されていても、私はまずバッサリ切ることにしている。


 学会1日目のシンポジウム「BPSDのこころをみつめる-認知症の「人」に対する治療」では、演者の先生方から認知症の薬の問題点が次々と指摘されていた。日本でよく使われていても世界的にはエビデンスがないとされる薬ばかりである。治療ガイドライン作成の中心人物に製薬会社から多額の研究費が流れている実態も明らかにされていた。そして、症状を抑えるために睡眠薬や抗精神病薬を処方するのではなく、周辺症状を起こすのにはその人なりに理由があるのだから、まずそこをしっかり診るようにというような話だった。

神経症の治療でも、症状を消すために薬をどんどんプラスしていったらキリがなく、それこそ薬漬けになってしまう。森田先生の言葉をもう一度噛みしめたい。


 「病といへば」薬といふ事は、古来よりの習慣に捕はれた謬想である。病の治療といふ事には、多くの場合、薬は単に医療の補助とするのみである。服薬を必要としない又は其有害な場合は甚だ多い。(中略)今日「病といへば薬」といふ病人と医者との関係から、多くの患者が徒に無用の薬を吞まされて居るといふ事は、既に心ある人々はよく知って居るべき筈である。総てこんな関係から受くる損害は、患者自身の頭の上に降りかゝつて来るのである。(白揚社:森田正馬全集 第7巻
p.203

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コメント


今、日本の精神医療で重大な薬害問題が起きています。ベンゾジアゼピンの薬害です。
ご存知でしょうか?

イサム 様

 ベンゾジアゼピン(Bz)系の睡眠薬・抗不安薬は精神科に限らず、内科や外科の医師も気軽に処方してきた薬剤です。しかしながら、依存性や耐性や退薬症候群をきたす問題を当ブログでは十数年にわたり指摘し続けててきました。非Bz系の睡眠薬マイスリーも実は安全とは言えません。そして、抗うつ薬SSRIの安易な使用による危険性についても当ブログ開設時より一貫して指摘し続けてきました。神経症圏の人にはできる限り「無脳薬」を心がけたいです。

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