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2018年6月20日 (水)

神経質礼賛 1518.コンサートでの過呼吸に御用心

 長いこと不安神経症で通院している男性患者さん。友人と一緒に女性歌手のライブコンサートに行って、久しぶりにパニック発作を起こしてしまった。それ以来、動悸や呼吸苦などの発作が続いて、救急車を呼んでしまったり、私が当直している夜に電話をかけてきたり、連日外来受診したりしている。内科で血液検査や心電図や心エコーなどの検査を受けているが異常はなく、内科医からは「精神的なものです」と断言されたという。


 私が小学生高学年の頃にグループサウンズの全盛期があり、沢田研二のタイガースや萩原健一のテンプダースと並んで「失神バンド」というあだ名で呼ばれるグループがあった。メンバーがステージで失神してみたり、観客が次々と失神して救急搬送されたり、ということで話題となっていた。メンバーの失神は話題作りのための演技だったらしいが、観客たちは興奮して大声で声援をあげているうちに過呼吸状態となって過換気症候群をきたして倒れてしまったのではないかと思う。失神が話題のバンドだから、もしかして自分も失神するのではないか、という暗示も働いたのだろう。そうなると一種の集団ヒステリーと言えるかもしれない。


 パニック発作は本人には死ぬのではないかという強い恐怖感をもたらすが、直接そのために死ぬことはない。そして、またなるのではないか、という予期不安があると、起きやすくなる。症状を抑え込もうと薬を増やしていくとキリがない。時間が経てば必ず収まるものだから、不安なままに過ぎ去るのをじっと待つ、その間もできることはやっていく、という森田療法的な対処法も有効である。

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