神経質礼賛 1556.漱石山房記念館と仙厓展
小田原で「からたちの小径」を歩いたのは前奏に過ぎない。欲張りな神経質は小田急に乗って新宿へ。そして目白駅から細川家の博物館・永青文庫を目指す。永青文庫は2回目なので迷わずに行けた。それにしても徒歩20分以上かかる。「江戸絵画の美」(10月13日-12月5日)という企画展で狩野派の絵画に始まり仙厓(90・238・1033話)や白隠(388・1477話)の絵画も展示されていた。来館者は3人しかいなかった。白隠の「お福御灸図」では金の亡者の男の尻にお多福さんがお灸をすえている。仙厓さんの「七福神図」を見ると、シアワセ感をもらったように思える。そして虎か猫かわからないような画に「虎か猫か当てて見よ」と書いているのも面白い。細川家の庭園だった新江戸川庭園を降りていくと、もう楓の紅葉が始まっていた。
その後は出がけに、毎日新聞の記事で、夏目漱石終焉の地に建てられた新宿区立漱石山房記念館が1周年を迎えたという話を知って、寄ってみることにした。かつて住んだ三畳一間のボロアパート(83話)があった早稲田鶴巻町から見て早稲田通りの反対側にある。漱石(626話)の書斎が再現されており、漱石自筆の原稿が展示されていた。裏に回ると「吾輩は猫である」の猫ちゃんの墓があった。カフェのメニューに漱石が愛した空也最中と飲み物のセットがあるのも面白い。つい昔のクセで早稲田通りを神楽坂方面に歩くと、化け猫のイベントで人が溢れている。飯田橋からJRで有楽町へ。
出光美術館での「仙厓礼賛」(9月15日-10月28日)がこの日のメインだ。出光美術館は仙厓の書画を数多く所蔵しているが、常設展示はなく、こうした企画展の時にしか見られないから絶好のチャンスである。今回は「老人六歌仙画賛」の3バージョンが展示されていて面白かった。老いや死を笑いにしてしまうのが仙厓さんらしい。本来、釈迦の死を描く涅槃図で、自分の死を描いて周りの人たちの慌てぶりをユーモラスに描いている画は初めて見た。もちろん有名な「指月布袋画賛」や「堪忍柳画賛」や「○△□」も展示されているから、仙厓ファンは必見である
家に帰って歩数計を見たら2万4千歩。15kmほど歩いたことになる。ちょっとやり過ぎかなと反省する。
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後楽園あたりに住んでおりましたので土地勘がございます。四分先生の行程は驚愕の長征(笑)でございます。「虎か猫か当ててみよ」とは題名だけでも垂涎なのですが、あまりのアクセスの悪さに諦めました来週平日に休みが入りましたので出光に参ることにします。皇居ジョギングを200回以上やりましたがその名前さえ知りませんでした。有難うございます。
それにしても先生は途方もない健脚の鉄人でございます
投稿: たらふく | 2018年10月20日 (土) 21時19分
たらふく様
コメントいただきありがとうございます。
文京区は、たらふく様の「庭」でしたね。永青文庫は都心にありながら交通の便の悪さが難点です。都電の早稲田からが一番近いでしょうが、道に迷いそうです。
漱石山房記念館は私の学生時代、区営住宅でした。一度歩いて「何もないなあ」と思った所です。漱石終焉の地とは知りませんでした。
たらふく様は皇居ジョギングをされていたのですね。出光美術館の隠れた魅力は、展示室を出ると皇居のパノラマが楽しめるところです。無料の給茶機のお茶をすすりながらソファに座って皇居を眺めながら一休みできます。入館料1000円のモトは十分に取れます(笑)。
ここ2、3年、夏場は足の爪囲炎に悩まされ、なるべく歩きすぎないように気をつけているのですが、ついついやってしまいます(苦笑)。
投稿: 四分休符 | 2018年10月20日 (土) 22時46分
漱石山房記念館ができて一年ですか。嗚呼、行きたい~。未知なる空也最中、漱石を偲んで食べることができる日を、これからの楽しみにしていこうと思います。12月9日は漱石忌です。
私も早稲田、目白のあの辺はとても好きです。都電、胸突坂などは情緒豊かで、胸がきゅんとなります。
投稿: | 2018年11月14日 (水) 17時02分
コメントいただきありがとうございます。
空也最中(241話)は地味ながら逸品だと思います。早稲田も目白も昭和の雰囲気を残していますね。大隈家御用達の老舗蕎麦屋「三朝庵」がこの夏で閉店してしまっていたのは残念です。もう一度食べたかったです。
投稿: 四分休符 | 2018年11月15日 (木) 08時03分