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2019年1月28日 (月)

神経質礼賛 1590.スマートドラッグ

 先週の新聞記事に、厚生労働省が「スマートドラッグ」と称する薬剤のうち25品目を医師の処方箋がなければ個人輸入を認めない規制措置を開始したというものがあった。規制対象とされる品目の中にはADHD治療薬アトモキセチン(商品名ストラテラ)、抗うつ薬チアネプチン(商品名スタブロン:国内未承認)、抗てんかん薬レベチラセタム(商品名イーケプラ)、抗凝固薬ピラセタム(国内未承認)、脳循環代謝改善薬ニセルゴリン(商品名サアミオン)、血圧降下剤・β遮断薬アテノロール(商品名テノーミン)とナドロール(商品名ナディック)などが含まれている。個人輸入代行業者が本来の用法とは別に集中力向上や学習能力改善を謳って販売しているが、重大な副作用や他の薬剤との相互作用も懸念されるので、今回の規制措置は当然のことである。

 

 スマートドラッグに明確な定義があるわけではない。ヌートロピック(向知性薬)という呼び方もあるようだ。サプリメントとしてドラアッグストアで売られているものから違法な薬物まである。アメリカでは大学生の5人に1人がスマートドラッグを乱用しているという調査結果があり、AIエンジニアやビジネスマンの間でも広く使われているという話もある。

 

 外来患者さんから「頭がよく働く薬はないですか?」と聞かれることが時々ある。集中力を高めてスッキリ仕事や勉強に取り組めるようにしたい、と望むのは誰も同じである。特に、よりよく生きたい、という「生の欲望」が強い神経質の人はなおさらである。しかし、どんな薬にも副作用はある。健康な人がスマートドラッグを飲む必要はない。気が乗らないまま仕方なしに仕事や勉強に手を出していくうちに自然に必要な脳内物質は出ているのだ。そして、本来有能な神経質の場合、「自分はダメだ」と思いながらもいつしか仕事や勉強がはかどっているのである。

 

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