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2019年3月10日 (日)

神経質礼賛 1604.電子カルテ導入3カ月後

 病院に電子カルテ(1567話・1575話)が導入されて3か月が過ぎた。当初は操作ミスの後始末に追われたり、マイナートラブルに悩まされたり、の連続だった。少しずつ使い慣れてきたし、システム担当者の努力もあって不具合も解消されてきた。従来の紙カルテからのデータ移行が不十分な点は何とも仕方がないが、入院患者さんに関しては必要最小限の情報については入力できた。外来患者さんでは最初は処方内容を全部入力するような手間があったが、1か月、2か月と経ってくると、同一処方は前回のコピーが効くので入力の手間が省ける。自立支援医療診断書や障害手帳診断書なども従来のものが使えなくなり、新たなフォーマットに打ち込む手間がかかる。こちらの方は今後2年経てば前のものをコピーして変更点を書き換えられるようになるわけだから、まだ2年間は苦労させられることになるだろう。診察内容をキーボードで打ち込むのは慣れてきたとは言え、根本的に手書きよりは時間がかかる。精神科では患者さんあるいは付き添いの家族の発言をそのままの言葉で記録する必要性があるため、一般診療科と異なり、入力の手間がかかる。午前の外来診察にかかる時間は、従来に比べて30分から1時間増しといったところである。


 電子カルテの良い点は、看護スタッフ、作業療法スタッフ、ケースワーカー、栄養士さん、事務スタッフと情報が共有できる点である。時系列にそれぞれが打ち込んだ内容が記録されていく。医師が書きなぐったカルテが読めないという問題も解決だ。お互いの連絡も電子カルテ上でメールのように行えるようになった。その反面、例えば2か月前のことを見ようと思ったら、画面をスクロールさせ、何度もその前を表示させるところをクリックして送っていかなくてはならないから見たいところを見るのに大変な手間がかかる。そして、1日中、長い時間をパソコンとにらめっこするようになってしまった。朝出勤したらまずパソコンの電源を入れて電子カルテを開き、前夜に何があったか見る。スタッフから次々と報告や要望などが「特記連絡」として送られてくるし、処方や検査などの指示切れ予定の警告が次々と送られてくるので、暇さえあればチェックをして対応する。まるで一日中スマホに縛られている若者のようである。帰り際にパソコンの電源を落として、ようやく仕事が終わる、という感じだ。以前ならば病棟へ行って、スタッフと話し合っていろいろな指示を出していたものが、今は多くのことがパソコン上で済んでしまう。人間関係が希薄になったと感じているのは私だけだろうか。多くの仕事がパソコン上で済むとしたら、通信セキュリティの問題が解決すると、精神科医は週
2日程度の出勤で済んで後は自宅のパソコンで仕事を処理する、さらには遠隔医療が認められるようになったら自宅に居ながらにしてすべての仕事をするようになるのだろうか、と想像する。もっともその頃には私は引退しているだろうけれども。

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