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2019年6月16日 (日)

神経質礼賛 1635.心は万境に随(したが)って転ず(2)

 昨夜は風雨が強く、雨が窓を叩きつける音で夜中に何度か目が覚めた。早朝には雨が上がり、少しずつ晴れ間が出てきた。朝から病棟を回って患者さんたちの様子を見てくる。開放病棟の患者さんが一人見当たらない。ナースステーションのカウンターにある外出ノートを見るとその人の名前と「8:00散歩」と書かれている。雨上がりに早速出かけたのだろう。医局に戻る途中、いつも窓から富士山の写真を撮る会議室を覗いてみると、富士山が雲間から姿を現し始めていた。30分してもう一度病棟に行ってみると、その患者さんは戻っていた。病院から1kmほど下った所にある中学校のところまで行って帰ってきたのだそうだ。この坂は結構急である。下りはいいが、上りは、病院が見えてから中々近づかない感じがする。「風が強かったけれど、そんなに疲れなかったですよ」というから体調も良好である。この人は入院から3か月。最初が昨夜のような土砂降りの大雨の状態だったとしたら、今は晴れであり、退院も近そうだ。この人を治してくれたのは、私や薬の力ではなく、病院という環境と温かいスタッフ、そして時間と本人自身の回復力によるものである。面談を終えて、もう一度会議室から富士山を見ると、また光景が変わっていた。ほんの10分、20分で姿を現したり消えたり、まるで姿を変えたり。富士山は本当に変わり身が早い。私たちの心もこのように時々刻々と絶えず変化している。森田正馬先生が患者さんたちに話した時、よく引用した禅語がある。

 心は万境に随(したが)って転ず、転ずる処実に能(よ)く幽なり

 流れに随って性を認得すれば無喜亦(また)無憂なり

 300話に書いたように、メンタルヘルス岡本記念財団初代会長の岡本常男さん(37話・268話・269話)は講演でいつも御自身の神経症体験を話され、「胃腸神経症にかかり、この言葉を知った時に、まるで電気で打たれたような感動を憶えた」と述べておられた。気分は天気のように変わりやすい。森田療法では、気分をいじろうとすることはやめて、気分はどうあれ、できることをやっていくように説いている。行動しているうちにいつしか気分も変わっている。雨の後には必ず晴れる。雨がずっと続くことはありえないのだ。

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