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2019年6月 9日 (日)

神経質礼賛 1633.自分への御褒美

 辛い仕事などで頑張った自分への御褒美というと何を思い浮かべられるだろうか。女性だと洋服、アクセサリー、男女共通なのは高級料理、旅行、趣味的な買物あたりが多いかと思う。私の場合、うつ病の患者さんたちの話を共感的に聞くことを繰り返していると、うつが伝染(うつ)って、そうした気分を吸い込んで知らず知らずのうちに溜め込んでしまう。妄想の強い入院患者さんからは「殺してやる!」などと怒鳴られることも時々ある。気分転換は楽器を弾くのと、たまに美術館に行くことくらいで、日常生活では仕事から帰って、ほっとして家で飲む焼酎がささやかな御褒美といったところだ。

 もっとも、仕事で重い空気を吸い込むばかりではなく、明るい空気を頂けることもある。重症だった入院患者さんがすっかり別人のように良くなって退院していくのは医師冥利に尽きるし、担当している外来患者さんが紆余曲折の末に就職したり結婚したりいいことがあるとこちらも嬉しくなる。最近治療を終えたA氏。仕事に就いてもうまくいかず、自宅に引きこもり、家族から散々非難され、ついに自殺を図り、隣県の救急救命センターに搬送され、さらに別の病院で後遺症の治療を受け、紹介されてきた人である。紹介状にはうつ病で入院が必要と書かれていたが、すでに希死念慮はなく、外来で十分やっていけると考えた。ただ、家族関係の問題も大きいため、デイケア通所してもらって本人の居場所を作るとともに、訪問看護を入れて家族関係の調整を行っていくことにした。デイケアで行った「ワンポイント森田」(1229話・1329話)にも熱心に参加していた。家族からの風当たりには「気に入らぬ風もあろうに柳かな」で受け流すこと、どう言われても挨拶はしっかりしていくよう話し、訪問看護師さんも本人が頑張っていることを家族にアピールして関係改善を図っていった。A氏は昨年から作業所に通い出し、デイケアの日数を減らし作業所通所日数を増やしていった。当初から1錠だけ服用していた抗うつ剤も本人の希望で中止し、治療も一応終結となった。A氏は訪問看護師さんに「作業所がちょうど1年になるので、自分への御褒美にGショック(CASIOの腕時計)を買いました」と真新しい時計を見せてくれたそうだ。彼にとっては立派な勲章である。まだまだ辛いこともあるだろうけれども、何とか受け流して前進して行ってくれたらと願う。

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