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2019年8月29日 (木)

神経質礼賛 1660.竜巻発生?

 昨日の朝、病院に着いてしばらくして、豪雨と突風に見舞われた。病院の前の坂道は一時、川のような状態となった。1時間ほどで一旦収まったが、そのうちまた激しい雨になる。外来の患者さんたちの中には傘が役立たず、ずぶ濡れになってしまった人たちがいた。車のない人は、三島駅から1時間に1本しかない路線バスに乗り、バス停から5分ほど歩かなければならないからお気の毒である。ある患者さんから、「今、TVのニュースでこの辺が竜巻らしい突風で屋根や壁が飛ばされたと言っているけれどここは大丈夫ですか?」と聞かれた。午前外来を終えて、昼のニュースを見ると、病院と同じ住所地である三島市徳倉で突風のため民家の屋根や壁が飛ばされ、マンションのガラスが割れてけが人が出て、日大三島高校のテニス場の屋根も一部がはがれ飛んでいる映像が流れていた。自動車が横転して、運転中していた人がけがをしたとの情報もある。竜巻だったのだろうか。気象台が調査したところによると、被害が出たのは1㎞あまりの帯状の地域で、推定風速は50m。竜巻だった可能性はあるが、断定はできないとのことだった。秋雨前線が居座り、南からは暑い湿った空気が入り込み、大気の状態が不安定になっている。九州では豪雨による大きな被害が報じられているが、はるか離れた当地で突然にこんなことが起こるとは全く予想しなかった。

 もしも竜巻が来たら、いち早く安全な建物に逃げ込むしかない。そして、ガラス窓から離れよう。自動車に乗っていても危険である。雲行きが怪しい時や、突風や竜巻の予報が出ている時には、スマホの雨雲レーダーやアメダス降雨予測などを見てチェックし、危険が予測される時には不要不急の外出は控えるのが一番である。「ちょっとくらい大丈夫さ」が命を落とす原因になりうる。心配性の神経質が命を守るのだ。

2019年8月25日 (日)

神経質礼賛 1659.だらだら・ごろごろ(2)

 8月21日付毎日新聞夕刊の特集ワイドは音楽家・加藤和彦さん(478話)と北山修さん(571話・577話)の話だった。加藤さんが自殺してちょうど10年。そして、精神神経学会の講演で拝見することもある九大大学院教授だった北山修さんもすでに73歳である。私が小学校4年生の時に大流行したザ・フォーク・クルセダーズの「帰って来たヨッパライ」は280万枚を売り上げた大ヒット曲だ。はしだのりひこさんとの三人グループで、北山さんは当時、京都府立医大の学生だった。グループは1年間限定のプロ活動の後解散。その後、「戦争を知らない子供たち」「あの素晴らしい愛をもう一度」「花嫁」の名曲が生まれた。

 今も精神科臨床にたずさわる北山さんは、「この年になると、医療のお世話にならずに生きているのは難しい。そういう状態でも、だらだら生きていくことが大事なんです。負けないで、だらだらと生きていくことが」と語っておられる。その通りである。別に勝てなくて良い。どんな状況であれ、生きている、それだけで価値があるのだ。そこを原点として少し積み上げが図れたらさらに良い。とりあえず、だらだら・ごろごろでも良いから、辛くても今日一日を生きて行こう。山頭火(887話)の俳句のように「だまって今日の草鞋(わらじ)穿く」である。明日には明日の風が吹く。

2019年8月22日 (木)

神経質礼賛 1658.だらだら・ごろごろ(1)

 外来患者さんで、「何にもしないでだらだら過ごしてしまう」「やる気が出ないんです。一日中ごろごろしてしまう」と訴える中高年女性をよく見かける。本人としては、「だらだら」「ごろごろ」に対する罪悪感が強く、自分が許せないのだろう。しかし、付添の夫や娘さんから話を聞くと、洗濯は毎日やっているし、時々掃除機もかける。確かに料理はあまりせずに買ってきた惣菜で済ませてしまうことも多いけれども御飯は炊いて味噌汁は作っているという。365日休まずにそれなりに必要なことはやっているのだ。たとえ惣菜を利用するにせよ、毎日の献立を考えるのは結構大変なことだと思う。主婦には、こまごまとした仕事は多いし、家をきれいにしておかなくてはならないというプレッシャーも大きい。全く休みがないことを考えれば、主婦業も見た目以上に大変なのである。だから、「現状でも十分に合格点です」「もう少し、何か楽しめることを探してみましょう」というメッセージを私は送るようにしている。

 そんなことを言うと、「え?おかしいじゃないか。行動本位・目的本位に休まずに仕事をしていくのが森田のやり方のはずだ」と仰る方が必ずおられるだろう。それは短絡的な見方である。行動本位・目的本位というのは、あくまでも、屁理屈ばかり言って、やればできるのに「できない」と言い張ってやるべきことをやらず、症状を可愛がる気分本位の神経症の人に対する指導の言葉なのである。病状や体調さらには周囲の状況によっては、無理は禁物ということもある。適度な休みも必要だし、本来は仕事と遊びとバランスが取れているのがベストなのである。

2019年8月18日 (日)

神経質礼賛 1657.ドミンゴとプッチーニ

 先週、世界的なオペラ歌手のプラシド・ドミンゴ氏が9人の女性歌手やダンサーたちから過去のセクシャル・ハラスメントを告発された、というニュースがあった。ドミンゴ氏の公演予定は中止になったという。スポーツ界、映画界などあちこちで自分も被害者だと声を上げる人々が増えている。その点、小心者の神経質人間ではセクシャル・ハラスメントを起こす可能性は低い。元来、人がどう思うか過度に気にするため、そうしたニュースに接すると「こんなことをしたら(言ったら)セクハラと思われはしまいか」と心配して、ますます口が重くなり、行動も委縮しがちになるのである。

  ドミンゴ氏はルチアーノ・パヴァロッティ氏(故人)、ホセ・カレーラス氏とともに三大テノールと称賛されてきた。極めて広いレパートリーを持っているが、特にプッチーニの歌劇「トスカ」での出演が最多なのだそうで、プッチーニの全作品の録音も果たしているという。「トスカ」の他「ラ・ボエーム」「蝶々夫人」「トゥーランドット」などの作曲で有名なジャコモ・プッチーニ(1858-1924)はパニック障害にかかったと言われているが、神経質ではなくヒステリーであると以前書いた通りであり(374話)、その実生活はオペラさながらであった。音楽之友社から出ている南條年章著『プッチーニ』は作品を追いながらの伝記となっていて、最後の作品篇に主要オペラのあらすじと解説が紹介されている。「トスカ」の項を見ると、物語の残虐性のために近年まで非常に毀誉褒貶の激しい作品だったそうである。大変な名作ながら、拷問・強姦・刺殺・自殺といった場面が続き、発表当時の聴衆には衝撃的だったようだ。神経質には作れない作品である。

2019年8月15日 (木)

神経質礼賛 1656.デジタルタイムレコーダー

 今日は変則勤務で当直から入るパターンだ。台風の影響が心配になる。義父が月1回病院受診の日なので、朝6時半に家を出て藤枝の病院に送っていく。時々、バラバラと大雨になる。帰りは妻に任せてバスと電車で一旦帰宅。今度は自分の母の用事である。動きついでに自宅にも掃除機をかける。ニュースを見ると新幹線は新大阪で折り返し運転とのこと。こだまは平常ダイヤで動いているらしいが遅れが心配なので、30分早い電車に乗っていき、駅の待合室で時間を潰す。約束の時刻の10分前に駅前に出てみると、病院送迎車がもう来てくれていた。「(三島の)お祭りで駅前が混んでいたら困ると思って早めに来たんですよ」と気配り上手の運転手さんが言う。神経質同士だと万事うまくいく。

 職員通用口から入ったところにタイムカードが置かれている。来週からはデジタルタイムレコーダーに切り替わる。職員全員に白いICカードがすでに配布された。今までは、家を出る時に、定期券と病院のマスターキーを忘れていないか確認していたのが、今度からは一品増えてICカードも確認しなくてはならない。試しに「出勤」ボタンを押してICカードをタッチしてみると、画面に自分の名前が表示され、「おはようございます」と音声が出た。芸能界でもあるまいし、夕方に「おはようございます」はないだろう、時刻によって「こんにちは」「こんばんは」に変える位のことができないのか、と内心思う。

2019年8月12日 (月)

神経質礼賛 1655.食わず嫌い

 食べ物に食わず嫌いということがある。皆様も、子供の頃は嫌って食べようとしなかったものが、今は好物になっている、なんていうことはないでしょうか。私自身は子供の頃、煮物が嫌いだった。人参、レンコン、シイタケ、こんにゃくなどが入った煮物を母はよく作った。食べないと文句を言われるので、真っ先に「やっつけ食い」をしていた。私の弟は最後まで食べずに残して叱られて泣くのであった。大人になって酒を飲むようになってからか、こういう煮物はむしろ好物になった。居酒屋では必ず「煮込み」を注文する。店によって具材の種類や味付けが全く異なるのも面白い。

 勉強も同じだ。特に教師が嫌いだと、その教科は嫌いになりやすい。しかし、受験勉強などで仕方なしに勉強して面白さに気付くことがある。私はただ暗記するばかりの高校の生物が大嫌いで物理・化学を選択した。最初の大学は電子通信学科だったから授業に生物という選択肢はなかった。医大に入り直して生物学は必修だから初めて勉強した。教授・助教授が面白い人だったのと、やはり医学部だからしっかり勉強しよう、という気持ちもあったから、興味深く勉強できた。

 音楽も自分が好きな分野やアーティスト以外はあまり聴かないという人がよくいる。クラシックなんか嫌い、という人も少なくないけれども、そういう人たちも知らず知らずのうちにTV番組やCMのBGMなどでクラシックの名曲を聞いているのである。そして、フィギュアスケートのBGMの名曲に聴きほれながら選手たちの名演技を楽しんでいるのだ。そういう私自身、あまり聴こうとしない分野がある。クラシック好きの義父から、「これ聴いてみるといいよ」と渡されたCDはリスト作曲「巡礼の年」全曲3枚組だった。よく、ピアノの演奏会で一部が演奏されることはあるけれども、聴きたいなと思う曲ではなかった。「巡礼の年」は標題の付いたピアノ小品集で、第1年スイス、第2年イタリア、第3年の3部に分かれる。第1年・第2年は20代にスイスやイタリアを旅して見た風景や絵画や彫刻をイメージして若い頃に作曲したもので、一方第3年はそれから30年以上経って身辺にいろいろなことがあり多くの親しい人たちを亡くしてからの作曲であって葬送行進曲も入っていて、その変化も興味深い。標題からいろいろ勝手に想像を膨らませながら、すんなりと聴けてしまった。

 神経質人間は好き嫌いがはっきりしていて、一旦、「嫌い」とか「苦手」のレッテルを張ってしまうと訂正には時間がかかる。食わず嫌いは損である。時には嫌いでも食べてみることである。

2019年8月11日 (日)

神経質礼賛 1654.「うっかり」のサプリ?

 民放のテレビCMではサプリメントの宣伝が目立つ。今日もテレビをかけたら、最近「あれ?」や「うっかり」が多くありませんか、というCMが流れていた。自分も「うっかり」が気になる年頃なので、つい引きつけられてしまう。サントリーのDHA・EPA・アラキドン酸を含むオメガエイドというサプリの宣伝で某私立医大名誉教授が出てきて効能を解説していた。

 確かに加齢により、そうした物質は不足してくるのではあるが、果たしてサプリとして摂取したら、どれだけ体内に吸収されてそのうちのどれだけが組織に移行し、どれほどの効果があるものだろうか。医薬品として承認されるためにはきちんと臨床試験を行い、有効性と安全性が証明される必要がある。プラセボ(偽薬)に対して統計的に有意な効果を示さなくてはならない。サプリだとそのあたりが甘いから信頼度がイマイチである。「元気な脳でいきいきと、いつまでも聡明で前向きな毎日を」というセールストークは誰もが望むところながら、そうした成分をサプリで補充するよりは、それを多く含むイワシ・サンマ・サバなどの青魚を意識して摂るようにするのが自然で良いのではないだろうか、と思ってしまう。

 心配性で慎重で確認癖のある神経質人間ではそうでない人に比べて「うっかり」は少ないのであるが、加齢とともに注意力が低下してくると、そうも言っていられなくなってくる。神経質が足りない、と言われないように気を付けたい。

2019年8月 8日 (木)

神経質礼賛 1653.吊り橋

 私は小学生の頃、夏休みには毎年、父の実家に泊まりに行った。同じ歳の従兄弟も泊まりに来ていて、山で蝉取りをしたり、すぐ近くを流れる安倍川の河原で小魚を追いかけたりして遊んだものだ。おやつには伯母さんが畑で採れたトウモロコシを茹でてくれたりスイカを切ってくれた。そして夜は伯父の家の従兄弟たちとトランプやゲームをして遊び、クライマックスは花火である。全く勉強をしない数日間を過ごすのだった。歩いてすぐの所に安倍川にかかる長い吊り橋があって、そこでも遊んだ。歩く所は30cm幅位の木の板が2枚並べられ、両側は手すり代わりの鉄のワイヤーがあるだけであり、足元にははるか下の河原や川の流れが見えるから結構怖かった。反対側から人が来るとすれ違うのはやっとだった。川の流れを上から見ていると吸い込まれていくような気がした。しかも、悪戯好きの従兄弟がわざと吊り橋を揺らすのである。ただ、慣れると、あまり足元を見ずに対岸の方を見ながら歩くようになり、そうすると揺れていてもさほど怖さも感じずに前へ前へと歩けるようになった。それはいいが、遊んだツケが回って夏休みの最後の4日間は宿題と自由研究を慌ててやっつけるのが常であった。

 森田正馬先生の言葉に「自然に服従し、境遇に柔順なれ」(263話・828話)というものがある。

 急流の橋の上から視下す時や、汽車の走る處を見て、其内に吸ひ込まれるやうに感じ、眩暈のやうな感を起こすのは、皆之を恐れて、其感覚に反抗するがためであつて、流水又は汽車と同じ速度に目を動かせば、全く障りもなく、無碍自在であるのである。

 勉強の苦痛や・家庭の仕事や・社交の煩累や・皆之を自分の心の置處によりて、之をリズミカルに調整する時には、吾人の生活は、常に無碍自在であるべきである。それには先づ自分が其内に没入同化して、其境涯になり、徒に反抗せず・拒避しないやうにする事によるのである。余は之を「自然に服従し、境遇に柔順なれ」といふのである。(白揚社:森田正馬全集 第7巻 p.384

視点や心の置き所を変えれば、とらわれから解放されて、結果として不安も感じなくなるものなのだ。

2019年8月 4日 (日)

神経質礼賛 1652.鱧(はも)

 厳しい暑さが続き、熱中症になる人が増え、救急車の出動が増えている。妻の父は長年住み慣れた家で一人暮らしをしているが、先日行ってみたところ、昼間から寝ていて衰弱した様子だった。宅配の弁当も2日間全く手を付けてない。熱中症ではないけれども、脱水低栄養状態である。元々持病がある人だからこのまま一人にしておいたら危険なので、我が家に連れてくることになった。1週間ほどでだいぶ元気になった。今後どうするか考えなくてはいけない。妻の実家も少しずつ整理して不用品を処分していく必要がある。私の出番が増えそうだ。すでに自分の母の世話を週2日はしているので、仕事を早期退職して近場で短時間勤務できる所を探してみようか、などと考えてみる。

 藤枝の妻の実家へ行った時によく立ち寄るのが「八兵衛」という蕎麦屋だ。以前も書いたことがあるけれども、店内にはクラシック音楽が流れ、店の中央には美しい坪庭があり、店員さんたちは気配り上手で、とても居心地が良い。店主の神経質がしっかり行き届いた店である。静岡にも支店はあるけれども、やはり本店はいい。ちょうど季節限定の鱧天そばがメニューに加わっていたので、冷たい鱧天おろしそばを注文した。鱧には梅肉が添えられていて、ベストマッチ。そばの美味しさを引き立てる。普段は塩分を気にして汁を残すけれども、大量に汗をかいて体が塩分を欲しているので一滴残さず飲み干す。

 鱧は夏の京料理ではお馴染みながら、東日本ではほとんど食べられていない。細かい骨が多く、独特の「骨切」の技術が必要なため、東日本では蒲鉾の材料くらいにしか使われてこなかった。鱧はウナギ目に属し、大きな口と犬のような鋭い歯をしていてどう猛である。夏バテの体に元気注入できそうな気がする。実際、栄養面で優れている。骨切により細かい骨を食べることになるので、カルシウムは十分摂れるし、ビタミンB6、B12、D、Eを豊富に含んでいるし、コンドロイチンも多い。高級な京料理だけでなく、もっと広く食されていい魚なのではないだろうか。

2019年8月 1日 (木)

神経質礼賛 1651.ヴァイオリン協奏曲「不安」

 今日から8月。昼の暑さだけでなく、夜から早朝にかけて気温が下がらない熱帯夜が全国的に続いている。早朝に窓を開けてもムッとする温風が入り込んでくるだけである。こう暑いとベートーヴェンやブラームスの曲は敬遠して爽やかなバロック音楽が聴きたくなる。

 ヴィヴァルディ作曲の協奏曲「四季」には、楽譜にソネット(詩)が書かれていて、「夏」の第1楽章は「やけつく太陽の季節には、人は疲れ、家畜は疲れ、松も枯れる」で始まる。まさにこの季節にピッタリの音楽である。手持ちのイ・ムジチ合奏団のCDには「四季」のおまけにヴァイオリン協奏曲ホ長調RV271「恋人」、同ニ長調RV234「不安」、同ホ短調RV277「お気に入り」の3曲が収録されている。「恋人」は比較的よく演奏されるけれども「不安」はまず聴くことがない。

「不安」の3つの楽章の演奏時間は2分―2分―3分と短い。ヴァイオリンがよく鳴る明るいニ長調であるから不安という表題にはあまりそぐわない。第1楽章はヴァイオリンが激しく動き回る。第2楽章では上昇音階と下降音階が交錯してちょっぴり不安気な旋律がみられるがすぐに明るい旋律に変わる。第3楽章も同様であり、全体的には活動的で明るい印象を受ける。原題はLInqietudineとなっているから、英語ではinquietudeとなる。確かに「不安」と訳せるけれども、心の動揺、落ち着きのないことを意味する。必ずしも悪い意味だけではなく、期待も入り混じった胸騒ぎといった方が近いのだろうか。

 ヴィヴァルディは病弱で若い頃から喘息に苦しんだ。現在と違って有効な薬がなかった時代であるから、夜間から早朝にかけて発作のために「死の恐怖」を味わっていたはずである。「四季」の春と秋の第2楽章では、周りが寝静まっても眠れない自分を表しているように思えるし、他の協奏曲でも短調の第2楽章には不安と不眠に悩まされながら夜を過ごしているといった雰囲気のものがみられる。しかしながら、そうした不安や死の恐怖を抱えながらも数多くの協奏曲を作曲し、300年以上後の私たちを愉しませてくれている。偉大な神経質の一人に加えたいところだ。

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