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2019年8月 1日 (木)

神経質礼賛 1651.ヴァイオリン協奏曲「不安」

 今日から8月。昼の暑さだけでなく、夜から早朝にかけて気温が下がらない熱帯夜が全国的に続いている。早朝に窓を開けてもムッとする温風が入り込んでくるだけである。こう暑いとベートーヴェンやブラームスの曲は敬遠して爽やかなバロック音楽が聴きたくなる。

 ヴィヴァルディ作曲の協奏曲「四季」には、楽譜にソネット(詩)が書かれていて、「夏」の第1楽章は「やけつく太陽の季節には、人は疲れ、家畜は疲れ、松も枯れる」で始まる。まさにこの季節にピッタリの音楽である。手持ちのイ・ムジチ合奏団のCDには「四季」のおまけにヴァイオリン協奏曲ホ長調RV271「恋人」、同ニ長調RV234「不安」、同ホ短調RV277「お気に入り」の3曲が収録されている。「恋人」は比較的よく演奏されるけれども「不安」はまず聴くことがない。

「不安」の3つの楽章の演奏時間は2分―2分―3分と短い。ヴァイオリンがよく鳴る明るいニ長調であるから不安という表題にはあまりそぐわない。第1楽章はヴァイオリンが激しく動き回る。第2楽章では上昇音階と下降音階が交錯してちょっぴり不安気な旋律がみられるがすぐに明るい旋律に変わる。第3楽章も同様であり、全体的には活動的で明るい印象を受ける。原題はLInqietudineとなっているから、英語ではinquietudeとなる。確かに「不安」と訳せるけれども、心の動揺、落ち着きのないことを意味する。必ずしも悪い意味だけではなく、期待も入り混じった胸騒ぎといった方が近いのだろうか。

 ヴィヴァルディは病弱で若い頃から喘息に苦しんだ。現在と違って有効な薬がなかった時代であるから、夜間から早朝にかけて発作のために「死の恐怖」を味わっていたはずである。「四季」の春と秋の第2楽章では、周りが寝静まっても眠れない自分を表しているように思えるし、他の協奏曲でも短調の第2楽章には不安と不眠に悩まされながら夜を過ごしているといった雰囲気のものがみられる。しかしながら、そうした不安や死の恐怖を抱えながらも数多くの協奏曲を作曲し、300年以上後の私たちを愉しませてくれている。偉大な神経質の一人に加えたいところだ。

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コメント

いつも楽しく拝読しております。
自称神経質の先生はこのブログを書かれているとき、「読んだ人から非難されるのではないか」とか「間違ったことを書いたらどうしよう」といった不安に苛まれることはありますか?私は色々な場面で常々あります。でも「不安はそのままにして、やるべきことをやる」ことが大事ということなのでしょうか。

哀飢男 様

 コメントいただきありがとうございます。
 当然、いつも不安を持ちながら書いています(笑)。ブログの怖いところは、多くの人に読まれて誤解されることもあり、それがネットで拡散する、いわゆる「炎上」が起きうる点です。当ブログも429話が欠番になっていますが、私の意図とは別の視点から非難を受けたため、おわびして削除しています。
 投稿前には少し時間を置いてから読み直してチェックしますが、それでも「神経質が足りない」と反省することがしばしばあります。

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