神経質礼賛 1665.サライ
少なくとも年に1、2回は買う雑誌がある。小学館のサライである。新聞広告を見て興味を引く内容だと買いに行く。文学・美術関係や京都関係のものはよく買う。読みたいな、と思っても、書店に行きそびれて売り切れてしまうこともある。今、売られている10月号は「京都 日本の美の原点へ」というテーマだ。まず「庭の美の秘密」ということで、名庭園の掃除や手入れに関する記事があった。石庭の代表、龍安寺庭園の美しい砂紋は一体どうやって作り出すのかとても興味深い。朝6時から担当の副住職さんが2種類の熊手を使って1時間かけて手入れするのだそうだ。一度始めたら気になるところがあってもやり直しはきかない。そして、同じ砂紋は二度と作れない。大徳寺瑞峯院では、79歳の老師が鉄板の歯が付いた重い熊手で彫りの深い砂紋を引いているのだそうだ。50年間も続けておられるというから大偉業である。
サライは平成元年に創刊され、ちょうど30周年なのだそうだ。出版不況で雑誌が次々と廃刊になる中、よく健闘している。どう見ても愛読者は中高年男性たちと思われる。今回はウェストポーチとして使えるバッグが付録として付いていた。色は臙脂がかった赤なので、私にはちょっと抵抗がある。私のバッグはどれも地味な黒か濃いモスグリーンである。そして、心配性の神経質ゆえ、ついついあれこれ詰め込んで重くなる。折り畳み傘、スマホ、MP3プレーヤー、筆記用具、三文判、買物用のエコバッグ二つ、財布を落とした時に備えての現金、サングラス、ティッシュペーパー、ウエットティッシュ、虫刺され用の軟膏、風邪薬・・・。もしも警官に職務質問されて荷物を調べられたら警官が呆れるのではないか、と妄想する。それに、どこへ行くにもあれこれ調べては欲張った計画を立てる。たまにはこの付録のような小さなバッグ一つで、ふらっと気ままな旅に出てみようか。
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