神経質礼賛 1684.親の介護問題
早い人で40代、遅い人でも60代になってくると必ず直面するのが親の介護問題である。最近では介護のために仕事を辞める介護離職が大きな問題となっている。介護を優先するため仕事を辞めてしまうと収入は大幅ダウンして困窮にあえぐことになりやすい。また、介護が一段落して再就職することになっても、退職した時より年齢が上がっているから、思うような仕事に就くことはむずかしくなってしまう。
特に、うつ病・うつ状態で長く外来に通院している人には、介護が大きくのしかかっていることが少なくない。結婚せず親と同居しているうちに親が弱ってきて一人で親の世話をしなくてはならなくなった、というケースも目立つ。「デイサービスへ行くのを嫌がるから家でみなくてはいけない」「仕事中も些細なことで親から電話がかかってくる」「夜、親がトイレに行く時は起きて付いて行くけれど、自分が眠れなくて昼夜逆転になってしまっている」といった話を聞く。こうなると、一種の共依存関係と言ってもいいかもしれない。がんばって自分のやりたいことを我慢して親のためだと思って世話をすることに生きがいを感じる。そのこと自体、悪いことではないが、度を過ぎた自己犠牲・過剰な援助は疲弊やうつの悪化を招くだけでなく、親のためにもよろしくない。さらに、家を出ている兄弟姉妹がいる場合、兄弟姉妹間の軋轢が生じやすい。本人からすれば家を出て行った人たちは自分に全てを押しつけている・自分はこんなに頑張っているのに理解されていないという思いが出やすいし、兄弟姉妹からすれば本人が自分一人で介護している苦労を過度にアピールしているようにも見えやすい。案外、離れて住んでいる兄弟姉妹の方が客観的に見ている部分もあるものだ。
介護は長丁場である。やみくもに突っ走ったら続かない。適度な休みや遊びも必要である。「がんばりすぎない」(706話)ことが大切だと思う。
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