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2019年11月24日 (日)

神経質礼賛 1689.癒しの第二楽章

 医療関連サイトを見ていたら、精神科医の自殺リスクは普通の人の5倍、という記事があって、思わず読んでしまった。リスクが高い原因として、受け持ち患者さんの自殺で自分を責めて追い詰めてしまうとか、そもそも精神的に問題のある人が精神科を選びやすい、といったことが挙げられていた。残念ながら担当している患者さんの自殺は1-2年に1回位の割合で起こり、ある日突然に警察から病状照会の電話がある。やはり、何がいけなかったのだろうか、何とか防止できなかったのだろうか、と自分を責めることになる。神経質ゆえ、反省の意味をこめて、自殺既遂者について要約を記録している。これほど強いダメージは受けないにせよ、普段からうつの人の話を聞き続けているとこちらにも、うつが伝染(うつ)るということもある。

 もちろん、気分はあるがままに(そのままにして)、やるべきことをやる、という森田療法的な対応はしているが、それ以外に自己修復に役立つのが音楽である。音楽療法の基本にアルトシューラーという精神科医が提唱した「同質の原理」ということがある。まずは、その時の気分に合わせたテンポや曲調の音楽を選ぶのが良い。落ち込んでいる時に元気を出そうとしてテンポの速い行進曲のような曲をいきなり聞くのは好ましくない。まずは短調のゆったりした曲を聞いてから、だんだんとテンポの速い明るい曲に移っていくのがよい。私の場合は休日に30分ほど楽器を弾いている。伴奏音源は自分で作成したものだ。特に心が落ち着くのがバッハの協奏曲の第2楽章である。チェンバロ協奏曲からヴァイオリン協奏曲として復元されたBWV1056Rの第2楽章はかつてスキャットで大ヒットした曲で非常に美しい。同様にオーボエとヴァイオリンのための協奏曲として復元されたBWV1060Rの第2楽章も天国的な美しさである。ヴァイオリンの教本に必ず載っている二つのヴァイオリンのための協奏曲BWV1043の第2楽章も弾いていて心地よい。フルートとヴァイオリンが絡むブランデンブルグ協奏曲第5番BWV1050の第2楽章もいい。短気で怒りっぽいバッハが自己治療のために作り上げたのではないかと勝手に想像してしまう。

 昨日はヴァイオリンとヴィオラ(と酒)を持って旧友の家に遊びに行った。年に1-2回、彼のピアノに合わせて楽器を弾き、終わってから飲むのだが、今回はもう一人彼の音楽仲間が来ていて、3人でバッハの二つのヴァイオリンのための協奏曲の第1楽章を弾いた。その人はまだ第1楽章しか弾けないということで、第2楽章は次回のお楽しみということになった。その先はモーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲K.364も弾こうということになっていてこれからが楽しみだ。

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コメント

四分休符先生は音楽好きでらっしゃる。らしいな。と思いました。

私も短調・二楽章が好みです。ベートーヴェン第九に限っては三楽章ですけれど、ね。
特にニ短調を好む傾向が私にはあるようです。あまり聴かない曲だな、でもいいな、と思うとアナウンスが最後に「ニ短調でした」という場面がよくあります。
比較的元気な時はハ短調?!だったり、変ホ長調だったり。
バッハは原点。モーツァルトは避けたいと思っても何故かモーツァルトに惹かれる不思議。

先生は職業柄、大変なのですね。お察し申し上げたい所ですが、多分私の想像を超えていると思います。どうぞ、お好きな音楽で癒やしを得られるのであれば、そうであって欲しいと思うしかありません。

四分休符先生初めまして。
偶然こちらのブログを知り書き込みさせていただきます。

私は1986年26歳のとき8ヶ月半、鈴木知準先生の所に入院したものです。
1999年にも森田療法家の青木薫久先生のところにも7ヶ月入院させてもらいました。

月曜日から土曜日の日誌は、立松先生、鈴木忠治先生、斎藤先生、豊原先生、長谷川先生(内科)、もう一人の先生失念しました。が観てくださいました。
日曜日の日誌を鈴木先生が、観てくれて指導してくださいました。

また、青木薫久先生の入院森田で治った上野さん(元高校教師で今は故人)が自宅で毎週土曜日森田の読書会を30年ぐらいされて、そのうち25年ぐらい通わせてもらいました。

森田療法には大変お世話になり、そのおかげで現在個人タクシーでギリギリ働いております。
個人タクシーはうつ病になっても自由に休めるので続いています。

それで、11ヶ月前、ネットで友田明美著 虐待が脳を変えるという著書を知り、杉山登志郎著 発達性トラウマ障害と複雑性PESDの治療 水島広子著 毒親の正体等を読み、YouTubeでの友田先生、杉山先生の動画を観たりして勉強しました。
すると私の全般性不安障害、神経性下痢、うつ病等の症状がパズルを組み合わせるようにピタリと当てはまりました。

フロイトの云う、幼少期の精神的外傷が後に神経症の原因になるというのも、ある意味正解で、森田先生の生まれつき神経質性格が神経症を引き起こす原因も正解なのです。

鈴木先生は私が入院当初、症状の原因は遠い先祖からの遺伝的なものと、今まで育った環境(親がすぐに助け船を出す過保護な環境)と説明されました。

友田先生の著書には、虐待が引き起こす精神疾患として、うつ病、不安障害等と書かれています。

私が、44年間苦しんだ経験で、虐待が原因で起こる不安障害と神経質性格から起こる不安障害では似ていますが、違いがあります。具体的な例としては今後また書き込みさせてください。

神経質性格から起こる不安は、嫌な気分をすぐにスッキリ無くしようと不安と闘い、森田先生の精神交互作用で、増々不安が強まりとらわれるのに対して、虐待の場合は、虐待により、キンドリング現象が起こり、恐怖を司る扁桃体が過活動になるということです。

初めての書き込みで長文になりました。
鈴木先生の入院生活では、色々具体的に覚えています。
また、時間があるときに書き込みさせていただきますので宜しいくお願いいたします。

KYさん、初めまして。
私も鈴木知準先生の卒業生です。1978年4月から約4ヶ月でした。同窓ですね。

鬱型神経症でらした様子。鈴木先生は鬱型の患者さんには優しくしておられたとよく記憶しています。私は不安神経症及びヒポコンドリー。今で言うパニック障害です。もう40年近く連れ添っています。でも、軽快になっています。

鈴木先生のような森田指導はもう無くなってしまっていると四分休符先生は言っておられます。同窓、同期生を時として思う事があります。

yukimiya 様

 コメントいただきありがとうございます。

 3楽章構成の曲だと急-緩-急というパターンが多いので、第2楽章はゆったり癒し系が多くなりやすいですね。ベートーヴェンの「第九」は有名な合唱の第4楽章よりも、私は第2・第3楽章を好んでいます。

KY 様

 コメントいただきありがとうございます。また、御体験をお書き下さりありがとうございます。当ブログの372話には「鈴木学校」卒業生の方々が多くのコメントを寄せて下さっています。よろしければ御覧になって下さい。

 神経症の原因として、森田療法では遺伝的な素因を重視し、精神分析では成育歴や外傷体験を重視します。実際のところは仰るように両方とも関与している場合が少なくないのではないかと思っています。

yukimiyaさん、四分休符先生こんにちは。

私は、1978年4月から高卒で消防士になり、鈴木先生の処に入院したときは、消防士を辞めずに入院しなさいと言われ、病休と休職で入院しました。

診断書には、神経質と書いてあり、途中から神経質と二次的うつと書かれていたと思います。
公務員を辞めて、初めて公務員は恵まれていたのだと実感しました。
休職中も、給料が出て、それを入院費にあてました。

私の場合はいくらかの神経質性格ありますが、抑うつ神経症とか新型うつ病では無くて、内因性のうつ病というものです。

幼少期に、父親から理不尽に暴言、暴力を受け続け、そのため脳が変形し、些細なストレスで大量のコルチゾールが分泌し前頭葉や海馬が萎縮して、うつ病になる脳になりました。

なぜ父親が、暴言暴力を振るうのかというと、私の父親は発達障害だったからです。
幼児虐待の50%ぐらいは、発達障害と関係性があります。

退院後2年ぐらいは、追体験に行ったり、同期の入院生とは付き合い連絡がありました。
今、同期の入院生はどうしているかなと、一度会ってみたいなという気持ちがありますが、広島に住んでいるので難しいです。

372話読ませてもらいました。

鈴木先生も亡くなられて12年も経つので私なりの推測を書いてみます。

初診の時、生活の発見会の事を言うと、小声であれは森田の外郭団体だと言われました。

待合室には、鈴木大拙全集が全て揃ってましたが、森田正馬全集は無かったし、一度も森田の五巻を参考にした講話も無かったです。少し違和感を感じたのを覚えています。鈴木忠治先生は五巻で講話をされました。

偶然2階の詰め所で、鈴木先生宛に手紙が来ていて、鈴木先生のやり方は、ガチャガチャ動き回るだけで、森田療法ではない、鈴木療法と呼べというようなことを鈴木先生が言っていました。鈴木療法と呼べとう言葉はハッキリ覚えています。

鈴木先生の講話は難しかったです。赤肉団上の上に一無為の真人ありとか、禅問答の例えは、上級者レベルです。
み易かった話は、本を読んだ後、次もその本の続きを読むために、本棚に収めるとき、少し手前にずらして、分るようにしておけば、強迫行為をしなくなるという話です。

青木薫久先生の恩師が高良先生で、高良先生の場合は防衛機制の単純化と云って、嫌な部署の仕事に行きたくない為、仮の安住地である、症状の中に逃げ込むというように、分かり易かったと思われます。嫌な仕事よりも症状があるからできないと言うほうが楽だということです。

森田療法学会の上層部の方が、森田全集を編集した先生の子弟になるとか、又は生活の発見会の上層部の先生方が森田療法学会の上層部で、その人達と確執があったのではないかと思われます。

鈴木先生も青木薫久先生も神経症者の幼弱性について、言われています。
また次回でも書いてみたいと思います。

ちなみに、私は森田の五巻を買って読みました。


KY 様

 コメントいただきありがとうございます。
 森田正馬先生御自身、「余の療法」をよりよくするために改良を加えられた経緯がありますし、お弟子さんたちも、それぞれ独自の工夫をされていますので、療法の大枠は同じでもやり方に差異があったり考え方の違いがいくらかあります。三聖病院・宇佐先生や鈴木知準先生の森田療法は禅との関連性が高いです。高良武久先生は森田療法を普及させるために分かりやすい言葉を使っておられます。「神経質」という言葉には、①性格としての神経質、②神経質性格を持った人、③精神症状としての神経質、の3通りの意味合いを含んでいますので、新たに「神経質症」という言葉を使われました。 それに対して古閑義之先生のグループは、森田先生は「神経質は病気ではない」と言ったのに病気にしてしまうのはおかしい、というような批判をしておられました。どの先生の森田療法もそれぞれのすばらしさがあろうかと思います。

神経質礼賛のブログに書き込むのは内容が違うのではと思うのですがご了承願います。

新版 うつ病をなおす 野村総一郎著 2017年2月20日第一刷発行のP209注16の記述です。
かつて私が所属した大学の研究室では、戸田裕之が中心となって、遺伝子の発現と環境との関係の研究を続けている。幼少児期に受けた虐待などのストレスが、遺伝子の構造そのものは変えないが、その働きを変え、それによりうつ病の発病可能性が高まることを論じている(戸田裕之他「幼少期ストレスの気分障害に対する影響」「Depression Frontier」 Vol.11 No2,2013,p.87-93

以下は私が調べた結論です。
神経質性格が主な原因と幼少期の虐待等強いストレスが主な原因の精神症状の違いです。幼少期に強いストレスを受け続けると、ストレスに弱い脳になります。

神経質性格が原因の放屁恐怖は、下水の臭いなのか、もしかして自分のおならがいつのまにか出た臭いなのか、又は後ろに人がいておならが出たらどうしようと強い精神葛藤から恐怖するもので、実際1ヶ月間のおならの量は健常者と同じである。(体質的に牛乳を飲んだり、お腹が冷えたりすると腸が緩くなるものは除く)

虐待が原因の放屁恐怖は、ストレスと脳腸関係から、些細なストレスで、不安緊張が高まり、神経性下痢になり易く、下痢になると同時に多量のおならも発生して1ヶ月間のおならの量は、健常者の20倍、30倍になることがある。

神経質性格が原因の不眠症は、熟睡できない眠れないと言いながらも、実際は眠っていたり、眠れなくても翌日昼寝や電車で眠れていたりして、1ヶ月間の睡眠時j間は健常者と同じである。

虐待が原因の不眠症は、漠然とした不安緊張から、1日4時間ぐらいの睡眠が続いたりして、1ヶ月間の睡眠時間は健常者の3分の2ぐらいだったりする。

神経質性格が原因の女性恐怖症は、女性そのものが怖いのではなく(逆に女性から好かれたい気持ちが人一倍強い)女性と話をしていて口籠ったら、嫌われるのではないか、変に思われるのではないかと恐怖する。

虐待が原因の男性恐怖は、(1990年11月13日 新潟小4女児誘拐事件があり、9年余り、自宅2階で監禁して、暴力、スタンガンで恐怖支配して19歳で発見された事件)男性そのものを怖がり、実の父親でも怖がるようになる。
裁判で、実の父親が証言しています。

素人の私が、このような書き込みをして気分を害されるかとも思いますが、精神科の先生に先天的要素が強い精神症状と後天的要素の強い精神症状があるということを、患者の立場として伝えたい気持ちが強いのです。

 お医者さんはやはり大変です。精神科のお医者さんのご苦労は、私にも想像はできます。今回の記事を読み、かつて先生が惹かれたとおっしゃった山頭火の句<捨てきれない荷物のおもさまへうしろ>が浮んできました。
 「自己修復」という視点からの音楽についてのお話はとてもおもしろく、私にも参考になりました。良い音楽仲間をお持ちなのもうらやましいです。
今回は一段と味わい深いお話をありがとうございました。

 「石焼芋」の他に、「鯛焼」「今川焼」「焼鳥」「ホットウイスキー」といった楽しい季語もあります。「おでん」「湯豆腐」「寄鍋」「鋤焼」なども冬の季語ですが、これらは、なるほど冬だ!となりますよね。

夏子 様

 コメントいただきありがとうございます。

 美味しそうな冬の季語、ごちそうさまです。どれも立ち上る湯気が魅力的ですね。寒くなってくると、仕事帰りの駅では、立ち食いそばの誘惑もあります(笑)。

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