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2020年1月 5日 (日)

神経質礼賛 1703.老人病院

 今では医師国家試験に合格すると研修医として大規模な病院で各科を巡回して研修を受ける。どちらかと言えばお客様的な扱いであり、経済的にも保証されている。精神科医を希望する研修医も一通り全科を回ってから精神科の研修を受けることになっている。私が医師になった頃は最初から決めた科の医局に入局してそこの科で研修を受けるスタイルだった。日雇い扱いの薄給で最初の1年は「奴隷生活」であり、早朝から深夜まで多くの雑用をこなさなければならなかった。それでも精神科は比較的緩く、入局3カ月後から研修先の大学病院に申請して地域貢献ということで、医局の関連病院で週1日は公然とアルバイトができた。

 私は老人病院に派遣された。初めての勤務の日、病棟を案内されていた矢先に看護婦さんから「ナートをお願いします」と言われた。一瞬わけがわからなかったが、転倒して頭部裂傷をきたした患者さんの縫合処置(独:Naht)をして下さい、ということだったのだ。持針器で縫合用の針を操作して縫合し、最後に糸結びする練習はしたことがあるけれども、実際にやったことはなかった。しかし、できないとは言えない。恐る恐る処置をする。一週間後に抜糸し、きれいに付いていてホッとした。その後も「ナートして下さい」は時々あった。転倒した際に顎を強打して、犬歯が唇を貫いてしまった人を見た時にはビビったけれども、どうにか縫合処置をした。一週後に抜糸し、二週後にはほとんど跡形もなくなく回復されているのを見て、人間の自然治癒力は凄いものだと感心したものだ。神経質の人で、自信がないからできない、と仕事に手を出さず回避する人がいるけれども、最初から自信があろうはずはない。自信はないまま行動していくしかない。自信は後から付いてくるものである。

 先月、母親が家の中で転倒して歩けなくなり、救急搬送先の病院に入院したということを書いた。幸い骨折はなく、筋肉の損傷だけだった。とはいえ、痛みが残り歩けない状態が続いていた。病院のケースワーカーさんから連絡があり、急性期の病院なので、自宅に帰れないのであれば転院先を当たってほしいとのことだった。転院先の候補として紹介してくれたのが、山奥のリハビリ病院と、市街地からそう遠くない老人病院だった。結局、老人病院に転院することになり、私の年末の当直勤務の合間に転院となった。療養病棟で入院期間は2カ月以内ということになっている。本人はすぐにでも退院したがっているけれども、歩けるようにならなくてはどうにもならないし、今後のことを考えると介護認定を取る必要がある。転院したその日に区役所へ行って、申請手続きをしてくる。それ以外にも家の中を片付け、介護サービスが受けられるよう準備していかなくてはならない。とりあえず、新年早々、またゴミ処理である。

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