神経質礼賛 1749.コレラとコロナ
森田先生が詠まれた短歌に次のようなものがある。
大坂の とある橋の上 黄旗立つ コレラありてふ しるしなりとぞ
(白揚社:森田正馬全集 第7巻 p.444)
コレラはコレラ菌が作る毒素が急性腸炎を引き起こす伝染病で、江戸時代後期にオランダ船から長崎に広がった。その頃は交通が不便だったから、箱根を超えることはなかったが、明治以降は全国的に感染が拡大し、致死率が極めて高かったから「コロリ」として怖れられていた。森田先生の生きた時代にも流行があって、感染地には近寄らないようにこのような警告が行われていたのだろう。
現代では、新型コロナの感染拡大警告のため東京レインボーブリッジを赤く照らして「東京アラート」が発せられた。今週には緊急事態宣言が解除されてレインボーブリッジは再び七色に照らされているそうである。しかし、これで安心というわけではない。以前の生活に戻していけば、第二波・第三波の感染が起こり得る。現在はほぼ鎖国状態であるが、海外との人の移動が始まればその危険性はさらに高まる。感染を警戒して注意を怠らないことが大切である。少々気になるのは、警戒宣言が出てパチンコ店が休業になっても県外の営業している店を探し出して車で駆けつけてパチンコをしていた人たちがインタビューに対して口々に「自分は大丈夫」と発言していたことだ。こういう根拠のない楽観が感染を広げてしまう恐れがある。再度緊急事態に陥らないためには神経質を緩めてはいけないということだ。
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