神経質礼賛 1770.不安心は用心の安心にして失敗は改良の喜びなり
表題の言葉は562話「失敗は成功のもと」でも紹介したが、森田正馬先生が色紙に書かれたものである。前半も後半も神経質礼賛につながるありがたい言葉だと思う。
神経質人間は不安に対する感度が高いので、ちょっとしたことでも不安になりやすい。不安は嫌だ、何とか不安をなくしたい、と思うのは人情である。しかし、不安になることで悪い事態に陥ることを用心して避けることができるのである。不安はよりよく生きていく上で必要不可欠なものだ。逆に不安に対して鈍感であるがために危険な行動を取ってしまう人達がいる。昨今の新型コロナ感染症ではクラスターの発生が問題となっている。「自分は大丈夫だろう」と油断して夜の街を遊び回り、飲み歩いて感染し、家族や同僚を感染させてしまうという事例が後を絶たない。その点、心配性の神経質人間は危険な場所へ立ち入ることは避けるので、そのリスクは低い。
さらに、神経質人間は失敗することを極度に恐れる。だが、失敗しない人はいないし、過度に失敗を恐れていては前に進めない。ビクビクハラハラのまま前進していく必要がある。失敗を反省するのは神経質の得意とするところであり、さらにそれを防ぐための改良を考え出すのも神経質の優れたところである。惨めな敗戦時の自画像「しかみ像」を座右に置いて慢心を戒め、長期計画で着々とポイントを稼いでついには天下を取った徳川家康(209話)、就寝前の1時間をその日の反省にあてて、新たな創意工夫をこらしていった「経営の神様」の松下幸之助(211話)。優れた神経質の先人たちにあやかって神経質を生かして行こう。
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