神経質礼賛 1774.帰省ラッシュなし
現在勤務している病院は前の病院と同様、夏休みはなく、通常勤務である。例年、この時期は、朝の通勤客は減り、夕方の帰りの電車は大きなトランクを持った帰省客でぎゅう詰め状態になるのが常だ。ところが、今年は帰りの電車もすいていた。駅のコンコースもそれほど人が出ているわけではなく、大きな荷物を手にしている人も少ない。やはり多くの人々は新型コロナ感染拡大を警戒して、帰省を自粛しているのだ。神経質が自分や親しい人の身を守る。関東圏で働いている私の子供も帰省自粛・巣ごもりを決め込んでいる。何も感じない人や自分は大丈夫だと高をくくっている人たちは、電車や飛行機はすいているし旅館やホテルも安くゆったり泊まれてラッキー、と観光に精を出すのかもしれない。このところ沖縄県で人口比最多の感染者を出しているのを見てもわかる通り、それは危険行為である。
インフルエンザのように季節限定ならばまだしも、新型コロナは真夏でも感染が収まらないので始末が悪い。この季節、旧盆で親類が集まったり、夏祭りがあったり、中学高校の同窓会があったりしたのが、そうしたハレの場がなくなり、人と人との結びつきが希薄になっていくのは残念である。とにかく私たちが生き延びることが最優先であり、今は我慢の一手だ。限られた中で工夫して生活を豊かにしていくほかない。何年か先、新型コロナ退散の祝杯を上げ、マスクなしで集まって談笑できる日が来ることを期待して。
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四分休符先生
神経質が自分や親しい人の身を守る。とあるので、鈴木知準先生の言葉をつい、思い出してしまいました。
「神経質の無神経」
梅雨時に窓を開け放つとは何事ぞ!ひどく叱られ、上記のように言われました。
神経質になりきれないと案外神経質人は無神経をさらけ出しているのです。なりきる、なりきれ、鈴木知準先生はそう言いたかったと思われます。
さて、果たして本当に神経質人は自分や親しい人達の身を守れるでしょうか。ちょっと疑問...と思った次第です。
投稿: yukimiya | 2020年8月21日 (金) 06時03分
yukimiya 様
コメントいただきありがとうございます。
梅雨なのに窓を開け放していたら、雨が吹き込むこともあるし、部屋が湿気てしまいます。しかし、閉めっぱなしでも換気が悪くてカビが生えやすくなり臭くもなります。もし閉めっぱなしで臭くなっていたら今度は「部屋が臭いのに窓を開けないとは何事ぞ!」と知準先生の「打ち込み」が飛び出したことでしょう。
神経症に悩む人たちは頭が固くて融通がききません。森田先生のところの患者さんも水遣りを命じられて雨の日も水遣りして叱られた、という話があります。
要は臨機応変。その時々の状況を的確に判断してそれに見合った行動をすることです。森田的な生き方が身についてくるとそうしたことが自然とできやすくなります。
今回の新型コロナの問題にしても、必要以上に手洗いや洗濯を繰り返していたらそれこそ不潔恐怖の強迫行為になって逆効果です。新型コロナを恐れながら適度にバランスの取れた対応をしていくことが必要です。そうなれば自分や親しい人達の身を守ることになります。
投稿: 四分休符 | 2020年8月24日 (月) 08時37分