神経質礼賛 1791.神経質力士の優勝
あまり大相撲に関心のない私がここ数年、ずっと注目していた力士がいる。1176話「神経質力士の誕生」、1709話「神経質力士の活躍」で書いた正代(しょうだい)である。親方からはマイナス思考で弱気だと言われ続けてきたが、郷里の熊本地震に発奮して実力を示すようになった。これまで2回、もう少しというところで優勝を逃している。関脇の地位で臨んだ今場所、前へ前へと出る積極的な相撲が光り、千秋楽では2敗の単独トップに立っていた。私にしては珍しくTVで見ていた。初優勝がかかりプレッシャーは大変なものだ。元来小心な人がとても緊張しているのが見て取れる。相手は新入幕の注目力士、絶好調の翔猿(とびざる)。こちらは負けてもともと、一発やってやろうじゃないか、という鋭い目つきをしている。これは危ないな、とこちらまで心配になる。立ち合いで出遅れる。もしかしたら相手が変化してくるかもしれない、と慎重になったのだろうか。土俵際に追い込まれてピンチに陥る。何とかこらえて押し返して勝負は反対側の土俵際で。後のインタビューで本人が言ったように「体が自然に動いた」、相手の攻めをこらえながらうまく引き落としで逆転勝利を掴んだ。熊本出身の力士としては初優勝。東京農大出身の力士としても初優勝なのだそうだ。
華やかさはないけれども、黙々と人一倍稽古に取り組む力士である。引き揚げていく時に、歩きながら付き人と肩を抱き合って涙を流している姿が印象的だった。「純な心」そのものである。大関昇進も決まり相撲協会からの伝達に、「至誠一貫、相撲道に精進します」と緊張しながら答えている。至誠一貫・・・真面目で純な正代関にピッタリの言葉だと思う。神経質大関の活躍に期待したい。
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