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2020年10月 8日 (木)

神経質礼賛 1794.森田療法はみんなの自己教育

 この4月から引き継いだ外来患者さんに突然「先生の本を読みましたよ」と言われた。通所している作業所のスタッフから勧められて掛川市立図書館の本を借りて読まれたそうだ。以前勤めていた病院でも、統合失調症のため月に1回、古くからある持続性注射剤を打って内服薬はなく、パートで働き続けている人から「本を読みました。よかったです」と言われて驚いたことがある。御殿場市立図書館で見つけて借りて読んだとのことだ。県内各地の公立図書館に寄贈したものが思わぬところで読まれて何かのお役に立っているというのはうれしい。

 森田療法は神経質性格の持ち主には特にシャープな効果を示す。しかし、本質は人間教育であり、幅広く人々に役立つものである。岡本重慶先生の京都森田療法研究所ブログ令和2年8月27日版に心を熱くする言葉がちりばめられているので御紹介したい。平成27年日本精神障害者リハビリテーション学会のスライドを公開なさっている。テーマは禅の「十牛図」と森田療法ということで、森田療法学会でも拝見したスライドが使われている。タイトルを含めて6枚目のスライドに「忘れられた森田療法の本質」として次のようなことを挙げておられる。

〇神経症に限らず、万人が人生の「苦」に向き合って生きる智恵。
〇人間としての治療者が、人間としての患者を巧(たく)まずして薫陶する。
〇精神療法のみならず、あらゆる治療やケアの従事者にとって必要な自己教育。
〇人間みんな当事者。

  そして最後のスライドには「パラドクスとしての森田療法の本質」として次の2点を記されている。

〇森田療法を金科玉条とすれば森田療法ではなくなる。
〇日常生活そのもの。

 まさにその通りで、普段、私が思っていることをズバッと指摘して下さったと感じている。理屈ではなく日常生活ファーストなのである。残念なことに森田療法の入院施設は減少の一途を辿ってしまっているが、岡本重慶先生の指摘された点を忘れなければ森田療法はこれからも発展していく可能性を大いに秘めていると思う。

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