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2020年10月29日 (木)

神経質礼賛 1800.一つ一つ文句にとらわれる

 頭でっかちの神経質、特に強迫の人は言葉にとらわれやすい。下手に森田理論を聞きかじるとますますまずい場合がある。よく言われる「あるがまま」も、気分が乗らないからあるがままに休む、という誤用は論外であるが、「あるがまま」をただ唱えているだけでは何の効果もなく、気分はさておき必要な行動をしていく、というところまで行って初めて「あるがまま」になっているのである。
  森田正馬先生の患者さんにも言葉にとらわれる人がよくいたようで、森田先生は次のように言っておられる。

 神経質に一番困る事は、一つ一つ、その文句にとらわれる事です。「見つめよ」という教え方は、人が「何か仕事をしなければならぬ」と思って、当てどなく、仕事を探し回るとか、あるいは気を紛らわせよう注意を配ろうと工夫して、ウロウロするような時に、そんな自分の心の「はからい」をせずに、現在の境遇に柔順にして、仕事がなければないままに、あるいは退屈のままに、なんでもその目前の物に、目をとめているという意味です。ことさらに、わざと努力して、見つめる稽古をするのではない。すなわち「見つめていればよいか」という問い方は、間違いの元になる。これと同じ意味で、仕事が忙しくて、疲労している時などでも、その仕事に関係したことに、自然にかじりついていればよいという事にもなります。そうすると自然に、何かと感じが起こって、「はからう心」を忘れて、精神の発動を起こしてくるのであります。(白揚社:森田正馬全集第5巻 p.582)

 理屈はいらない。理屈は役に立たない。理屈抜きで目の前の仕事にさっと手を出す。それが身について自然に行動の連鎖が起きるようになれば、ギアをニュートラルに入れたままでエンジンの空ぶかしをするような頭の空転はなくなっているのである。

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