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2020年10月11日 (日)

神経質礼賛 1795.噛みしめ(クレンチング)症候群

 4か月ほど前、左側上下の奥歯が痛み始め、食べ物が噛めなくなった。左額下リンパ節が熱を持って腫脹して、耳下腺まで腫れている感じがする。鏡を見ると左顎全体が腫れ上がっている。痛みは徐々に左側の歯肉全体に広がる。こうなるとしゃべるのも大変だ。マスクをしているから患者さんにはわからないけれども外来診療が辛い。解熱鎮痛薬を飲んで寝る前には左顎に湿布を貼っていたが効かない。高校時代の同級生がやっている歯科医院に駆け込む。小柄だけれど声が大きく元気な女医さんだ。

 レントゲンと視診・触診で、「歯そのものは悪くないねえ。噛みしめ癖があるね。それで歯周病が悪くなったんだよ。ストレスが強いんじゃない?」とのこと。ありゃりゃ、完全にお株を奪われてしまった。確かに、退職、再就職、母の介護などでいろいろあった。ストレス解消に弾いているヴァイオリンやヴィオラも左顎には良くなかったようだ。楽器は左肩と左顎で挟んで支えるので、プロでは左奥歯を傷めやすいという話もある。抗生剤のジスロマックを処方してもらい、歯を食いしばらないように気を付けることにした。1週間後には痛みと腫れは少し軽減してきた。歯石取りとクリーニングをしてもらう。歯磨き指導の後、「この歯みがきを使うといいよ」と歯科医院用の『ジーシーおとなのトータルケア歯みがきジェル』を勧められた。毎日、その歯みがきを使ってブラッシングを丁寧に続けていたら症状は徐々に良くなってきている。短い時間ならばまた楽器も弾けるようになってきた。

 歯の食いしばりが常習化すると、歯の欠損・亀裂・破折、歯周病、知覚過敏、顎関節症、重度の肩こり、頭痛、耳鳴りなどの症状をきたす。これが噛みしめ(クレンチング)症候群である。さらに、歯を噛みしめる時には1回に3-5mlの空気を飲み込むと言われ、げっぷ、おなら、腹部膨満感などの症状もきたすため、噛みしめ呑気症候群とも呼ばれる。近年、パソコンやスマホの長時間使用やストレスのため、このような症状に悩まされる人が増えているそうである。特に不具合はなくても年に1-2度は歯医者さんへ行って歯や歯肉の健康状態をチェックしてもらうとよいだろう。

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コメント

先生、良くなってきてよかったですね。

私も歯医者さんに「日中、食いしばっていませんか。寝ているときも歯ぎしりしているでしょう」と言われたことがあります。気が付いたら、歯は合わせないで、浮かせておくようにアドバイスされました。疲れると弱いところにくる、といいますが、私も歯にきます。

特に、高齢になると、口腔のケアはとても大事らしいから、母にはいろいろ言っちゃうし、入れ歯の掃除などをします。知識がなかったから父に十分なことをしてやらなかった後悔が大きいからなのですが、母には少々うるさがられます。

すみません、前の投稿は夏子です。

夏子 様

 コメントいただきありがとうございます。

 口腔内の不調は生活の質(QOL)に大きく影響します。寿命にも関係すると思われます。お母様の入れ歯の手入れもなさっているのですね。少しでも元気で長生きしてほしいという愛情にあふれた行いかと思います。

 辛い時、ついつい「歯を食いしばってこらえる」をやってしまう長年の癖があります。仙厓さんの禅画「気に入らぬ 風もあろうに 柳かな」のように自然体で受け流せれば理想的なのですが、どうも力んでしまいます。まだまだ森田が足りないと思うこの頃です(苦笑)。

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