神経質礼賛 1797.飛沫感染防止の衝立(ついたて)
今週から外来診察室に飛沫感染防止のための衝立が設置された。診察机の正面に幅1m高さ1.5m位、横には幅1.5m高さ1.5m位、二枚のアクリル製の衝立である。薄く透明なアクリル板で、支える縁の部分は白いプラスチック製である。精神科だと聴診など患者さんと直接接しての診察が少ない代わりに長い時間話すことがあるので、新型コロナやインフルエンザなどの飛沫感染防止対策が必要になってくる。この衝立は新型コロナやインフルエンザ対策として有効な手段だと思われる。入室して雰囲気が変わっていて驚いた人もいたけれど、「お店でもこういうのが付いているからやってもらえると安心です」と言ってくれる人もいて、概ね好評のようである。
しかし、不便な点もある。高齢の患者さんたちには難聴の方が少なからずいる。ただでさえマスクを付けて話している上に、衝立が間に入ると、難聴の患者さんにはさらに聞きにくくなってしまう。結局、衝立の横から顔を出して大きな声で話さなくてはいけなくなる。また、聴診器を使うことはほとんどないとは言え、抗精神病薬の副作用のため筋強剛などの症状が出ていないかチェックする際には患者さんに直接触れなくてはならない。
透明の衝立というと、サスペンスドラマで留置所での被疑者への弁護士や家族の接見場面を思い浮かべる方もおられるだろう。衝立は透明だけれども、外側の自由な世界と内側の自由を奪われた世界とを隔てる壁という存在だ。物理的な隔てはあっても心の隔てはよろしくない。冷たい感じにならないように気を配って利用していきたい。
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