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2020年11月26日 (木)

神経質礼賛 1809.劣化

 先日、Eテレ再放送の「SWITCHインタビュー達人たち しりあがり寿×田丸雅智」を見た。しりあがり(334話)さんは漫画家で田丸さんはショートショート作家である。しりあがりさんは最近、劣化ということに注目しているという。一度自分で描いた絵をグラインダーのような機械で痛めつけている画面が流された。古寺の仏像や絵画などは長い年月を経て落剝したり変色したりして、当初の姿とはまた別の美を発揮していることを考えてのことだそうだ。わび・さびといった日本の美意識にも通じるという。しりあがりさんは私と同学年だから、劣化を意識する年頃なのかもしれない。

 誰もが多かれ少なかれ加齢とともに体力・知力・気力が衰えていくことは避けられない。江戸時代の禅僧・仙厓さん(90・238・1033・1556話)の禅画「老人六歌仙」には次のような言葉が添えられている。
 しわがよる ほくろが出来る 腰が曲がる 頭がはげる ひげ白くなる
 手は震え 足はよろつく 歯は抜ける 耳は聞こえず 目はうとくなる
 身に添うは 頭巾襟巻 杖 眼鏡 たんぽ 温石(おんじゃく) 尿瓶 孫の手
 聞きたがる 死にともながる 淋しがる 心がひがむ 欲深くなる
 くどくなる 気短になる 愚痴になる 出しゃばりたがる 世話焼きたがる
 またしても 同じ話に 子を褒める 達者自慢に 人は嫌がる

 いつの世も同じだ。前半は身体的変化、後半は精神的変化をあらわしている。しかし、絵に描かれた老人たちは楽しげに見える。特に中央に描かれた腰の曲がった老人は実にいい表情をしている。あちこち劣化したところで、それがどうした、そのまんまで生きて楽しんでいけばいいじゃないか、仙厓さんは老いを笑い飛ばしながらそう言っているように思えてならない。

 森田正馬先生が亡くなる前年の写真に着物姿で下駄を履き帽子をかぶり傘をさして小さな乳母車にちょこんと座って外出しておられるものがある。とても自然ないい笑顔をしておられて、私はこの写真の森田先生が一番好きである。たとえ病気のため老化のため思うにまかせなくなったとしても、こうして楽しんで生き尽くせばいいのだよ、と一枚の写真で教えて下さっているように思う。

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