神経質礼賛 1826.新春ミニコンサート
先週の水曜日、高齢者・認知症患者さんの病棟の看護師長さんから楽器演奏の依頼を受けた。先月、デイケアでクリスマス曲を少しばかり弾いたのが話題になっていたらしい。先送りすると、いろいろな予定が飛び込んでくるので、すぐの土曜日にということで引き受けることにした。練習している時間もないから、前の病院の行事で弾いたことのある曲を並べる。①ヴィヴァルディ『四季』から春の第一楽章 ②花は咲く ③千本桜 ④ジュ・トゥ・ヴ というラインアップである。
弾き慣れた曲とは言え、前話のように両手の指はひび割れ・あかぎれだらけでコンディションは良くない。家で通して2回練習してみたのがやっとだ。本番でトラブルが起きても対処できるように、伴奏音源の入ったMP3プレーヤーとスピーカーは2個ずつ用意した。このあたりは神経質のなせる業である。
昨日が本番。先月デイケアで弾いた時はロッカーに入れっぱなしのエレキヴァイオリンを使用したが、今回は家から本物を持参。普段患者さんたちが食事をするホールで演奏する。ビデオカメラを構えている職員が二人もいるのに気づき、少々緊張する。下手なりに流れに乗って演奏するのだが、小さいミスは多発するから、正直言って録画はありがたくない。気持ちよさそうに眠ってしまっている患者さんもいるけれども、曲に合わせて体を動かしながら聞いてくれる患者さんをみつけると、こちらもうれしくなる。一通り弾き終わってから、おまけに無伴奏の重音で童謡の「故郷」を弾く。本来ならば一緒に大きな声で歌ってもらえるといいけれども、感染症対策のため禁物だ。「小声でこっそり歌って下さい」と告げる。またの機会のために、童謡のヴァイオリン無伴奏編曲を作っておこうと思う。
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コメント
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私も、頼まれごとをされたらなるべく引き受けける人になりたいです。
「気持ちよさそうに眠ってしまっている患者さんもいるけれども」って、先生の演奏が心地よいから緊張がほぐれて眠ったのかもしれませんよ。昔のことで名前は確信がないので言わないでおきますが、ある有名な音楽家が、「大人の聴衆を眠らせるための演奏会をしたい」と対談で言っていました。ストレスで眠れない現代人のための音楽会をやりたいんだな、と解して「なんて素敵な発想!」と思いました。
今日は、叔母の通夜があって、想像以上の後悔でまだ眠れずこんな時間にメールしています。
投稿: 夏子 | 2021年1月20日 (水) 03時09分
夏子 様
コメントいただきありがとうございます。
私が住んでいる(楽章の合間に必ず拍手が出る)ような田舎ですと、海外の著名な弦楽四重奏団によるベートーヴェンの演奏会では半数以上の聴衆が眠りに落ちています(笑)。「眠らなければいけない」と思うと眠れないのと同様に、「眠ってはいけない」と思うと眠気が強くなるという面もあるかもしれませんね。高校の授業や大学の講義を思い出します。ペンを持ったまま眠りに落ちて、ふと気が付けばノートにわかのわからない軌線が描かれていたものでした。
私も昨年の暮れに叔父が亡くなっています。ああしておけば、ああ言っておけば、という思いはいろいろ浮かびます。必ず後悔は出てくるもので仕方ありません。その分、今、やることをしっかりやっていこうと思います。
投稿: 四分休符 | 2021年1月20日 (水) 07時45分