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2021年2月18日 (木)

神経質礼賛 1837.厚意を断るむずかしさ

 森田正馬先生には変わったエピソードがある。有名な話としては診療所に「下されもの」(385話)と書かれた、患者さんからもらってうれしい物・困る物を記した張り紙があったことだ。合理的と考えるか非常識と考えるか。他にもいろいろ考えさせられる話がある。料理上手な婦長さんがいて、毎日、美味しいおかずを作って病院に持ってきて森田先生や職員さんたちに振舞っていた。ところが、ある日、森田先生が「これをまずいなあ」と言ったので周囲の人々は驚いた。そんな言い方はないだろう、と陰口をたたく人もいた。それ以来、婦長さんはおかずを持ってこなくなった。しばらく経ってから、ある職員が森田先生にそのように言った理由を聞いてみた。「ああでも言わなければいつまでもおかずを作り続けなければならないじゃないか。それでは婦長があまりにもかわいそうだ」と。

 これには賛否両論あるだろう。厚意の断り方は実にむずかしい。神経質人間は人から悪く思われたくないという気持ちが強いので、なかなか断れない。私だったらどうするか。やはり断れずにズルズル現状維持を続けてしまいそうである。そして、時々、返礼のお菓子でも渡しそうだ。しかし、そのうちに、これではいけないと意を決して、今までの厚意に感謝しつつ婉曲な言葉を選んで断ることを考えるだろう。森田先生のやり方は特異であり、誰にも真似はできない。合理的かもしれないが、ちょっと人情味に欠けると感じる方もおられると思う。

 大原健士郎先生は御著書『日々是好日』(p.73-74)の中で、このエピソードを紹介しながら、もし自分が森田先生の実の子や孫だったら「たとえ婦長のことを心底から心配していたとしても、彼女に生涯忘れることのできない心的外傷を与えたではないか。もっと言い方を工夫すべきではなかったか」と文句を言ったかもしれないと述べておられる。同感である。

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