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2021年4月 1日 (木)

神経質礼賛 1851.小言幸兵衛

 うつ病の人も良くなってくると、復職したり負荷の少ない仕事に移ったりして、そこで適応できていると、少しずつ減薬していき、やがて薬をやめて治療終結となる。しかし、長期にわたり休養と薬物療法が続いてしまう人がいる。うつの神経症化が起きていると考えられるケースも少なくない。不眠や種々の体調不良や意欲低下に対して本人の求めに応じて薬を増やしても、薬が効かないばかりか、薬の副作用も相まって収拾がつかなくなる。本人は「うつ病は休まなければならない」と決めつけて多少の痛みを伴うリハビリテーションを避けて家でゴロゴロしているし、家族も「何かあっては困る」と腫れものを扱うようにしているから、本人の体力や適応能力は低下していく一方である(312、313、328話)。

 かつての浜松医大では、そうした中高年の患者さんに十分に身体的な検査や心理検査を行った上で森田療法を行うことがあった。医師や看護師がフォローしながら、作業に参加してもらい、集団の中で役割を担ってもらう。薬はなるべく必要最小限に絞っていく。そして少しずつ健康的な部分を伸ばしていくのである。退院していく患者さんの茶話会でのスピーチに対して大原健士郎教授は、「症状の愚痴ばかり言ってないで、奥さん孝行・家族孝行をしてごらんよ。小言幸兵衛じゃあ嫌われるだけだよ」とアドバイスされ、健康人らしく、人の役に立つように行動するよう説いておられた。

 小言幸兵衛とは落語の演目である。麻布の家主、幸兵衛は長屋を回っては小言を言うのが常であった。犬や猫にまで小言を垂れる。そのため小言幸兵衛とあだ名されている。時々、新たに家を借りたいという人が訪ねてくるが、あれこれ難癖をつけて、その人を怒らせて帰してしまうのが落語のテーマとなっている。その難癖ときたら、認知療法で言うところの「結論の飛躍」「拡大解釈」「感情的決めつけ」「レッテル貼り」などの好例(?)である。

 神経質は他人に厳しいが自分にも厳しいし、慎重であるから、そのままでは小言幸兵衛にはならない。しかし、症状中心の生活になって、うまくいかないのを病気や他人のせいにして愚痴ばかりこぼしていたら小言幸兵衛さんになってしまうから注意が必要である。

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