神経質礼賛 1844.宇佐晋一先生最後の講話
京都森田療法研究所のブログでは現在、三聖病院院長の宇佐晋一先生の最後の3回分の講話ビデオが公開されている。1回約1時間の講話を5分割してYouTubeにアップしてあり、ブログからリンクで視聴できる。分割してあると言っても自動的に次に移っていくのでストレスなく連続して視聴することができる。岡本重慶先生の労作である。禅的森田療法の世界を垣間見ることのできるチャンスなのでぜひ御覧いただきたいと思う。
平成26年末に長い歴史を持つ三聖病院は閉院となった。講話は週3回、夜に行われていた。公開されているのは平成26年12月21日(日)、24日(水)、26日(金)に行われたものである。26日の最終講話の中では、治るということの意味が語られる。講話の最後のところで、父上である先代院長・宇佐玄雄先生が「治ったふりをしなさい」と患者さんたちに本気で言っていたというエピソードが紹介されていたのが興味深かった。
とにかく早く何とか症状を取りたい、というのが神経症患者の切なる願いであるが、そもそも症状は自分で作り出しているものであって、症状をなくそうなくそうとはからえばはからうほど底なし沼に沈んでいくのである。森田正馬先生が「神経質は病氣でなくて、こんな仕合せな事はありません。(森田正馬全集第4巻 p.386)」と言われたように、病気扱いにせず「症状」は相手にせずにやるべきことをやっていけば、神経質の真価が発揮されて、人並み以上の仕事ができるのである。そして、いつの間にか症状を忘れて治っているのだ。「治ったふりをしなさい」という指導も森田療法の理にかなっている。
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