神経質礼賛 1881.ジェネリック薬品の問題
今から15年ほど前、ジェネリック薬品に関する記事を書いた(103話)。ジェネリック薬品は特許切れとなった薬を他の製薬会社が製造販売するものである。開発費や宣伝費がかからないから安くできる。医師や薬剤師に薬に関する情報提供する手間も省ける。昔からあるにはあったが、小規模メーカーが作っていることが多く、品質や安定供給能力の問題があり、安かろう悪かろうということで軽蔑的に「ゾロ」と呼ばれていた。安く買い叩いた「ゾロ」ばかり処方しているような病院は悪徳病院とみなされたものである。しかし、近年は医療費削減のため国策としてジェネリックの処方が推奨されるようになり、現在では処方薬の約8割がジェネリックとなっている。
以前から懸念されていたことだが、品質上の問題が発生している。小林化工が製造したジェネリック薬に多量の睡眠薬が混入していて2人の死者を出したほか、服用して運転中に交通事故を起こしたケースがあった。そしてジェネリック薬の最大メーカー日医工が不適合品を適合品として不正に販売していた事件も明るみになった。2つのメーカーは処分を受けたが、生産停止により、ジェネリック薬の供給が不安定になっている。私が担当しているてんかんの患者さんで長いこと服用している薬が日医工製だったため、調剤薬局で手に入らなくなり、錠剤でなく粉末の薬に変更せざるを得なくなった例がある。患者さんにも不便をかけているのだ。日医工や小林化工が製造していた薬は他のメーカーも製造してはいるものの、品薄になって供給が不安定になり、薬局の管理者は薬をかき集めるのに苦労している。みんな新型コロナ対策で忙しいというのに、迷惑千万である。安いというだけで品質には目をつぶり安易に誘導してきた国のやり方にも問題がある。生命にかかわることだから、もっと神経質になってもらわなくては困る。
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ジェネリック薬品はただただ有難いという思いばかりでしたので、このような問題があるとは知りませんでした。品質と安定供給、何か問題が起これば現場の方が責任追及されますね。安かろうでは食品にも懸念があります。製菓業で韓国製の砂糖を使うところがあるのを最近知り驚愕しました。どなたが安全を保証してくれるのでしょうか。
(甘党から離脱の契機に感謝かもです( `ー´)ノ)
投稿: たらふく | 2021年7月 4日 (日) 10時54分
たらふく 様
コメントいただきありがとうございます。
医療費削減のためジェネリック薬に誘導するのはやむを得ないことですが、国策としてやる以上、先発品に決して劣らない品質が保れるように目を光らせなくてはいけません。すべてメーカー任せで書類にハンコを押しているだけではこういうことが起きてしまいます。認可してからも抜き打ちでチェックするような管理が必要です。
薬と同様、口に入る食品の出所は気になります。製品のバーコード最初の2桁が「49」・・・日本製、を確認する確認行為をついやってしまいます(笑)。もっとも、原材料まではどこの国で生産されたものかわかりませんね。
投稿: 四分休符 | 2021年7月 4日 (日) 17時52分