神経質礼賛 1874.鏡が割れる
病院からの帰りは薬剤師さんとともに駅まで車で送ってもらっている。昨日はいつもならすぐに来る薬剤師さんがなかなか現れない。帰り際に急な調剤依頼があって遅れるのかな、と思っていたら、スマホで話しながら急ぎ足でやって来た。「すみません、ロッカーを開けたら、付いている鏡が落ちて割れちゃったんですよ。本当にびっくりしちゃって・・・。家で何か悪いことでもあったんじゃないかって気になって思わず電話したんですよ」とのこと。いつものようにロッカーを開けたらいきなり鏡が取れて落ちたのでは、びっくりしたのも無理はない。幸いにして何も悪いことは起きていなかったそうである。
鏡が割れると縁起が悪い、という考え方は日本ばかりでなく英語圏の国々でもあるらしい。「三種の神器」の一つが鏡であり、神聖であるとか霊力を持っているというように、昔は考えられていた。西洋でも魔術に使われる重要なアイテムである。しかし、百円ショップに鏡が大量に並んでいる現代では、そこまで思い込むことはない。縁起を心配するよりも、割れた破片でケガをしないように注意深く処理することの方が優先だ。
黒猫が前をよぎると縁起が悪い、夜の蜘蛛を見ると縁起が悪いとかいう話もあるが、猫はその辺をウロウロしているのだし、蜘蛛だってどこにでもいるのだから、どうにもならない。鏡だって古くなれば傷んできたり、衝撃がかかる所にある鏡だったら落ちて割れたりすることだってあるだろう。最近は減ってきたが、神経症の中には縁起恐怖というものがあって、縁起を気にするあまり、日常生活に支障をきたしてしまうこともある。私たちの生活では、良いことも起きれば、悪いことも起きる。縁起が悪いと思い込んでいると、良いことは見逃して、悪いことだけが記憶に焼き付く。占いと同じだ。ただそれだけのことである。縁起が良かろうが悪かろうが、気分はそのままに、できることをやっていくだけである。
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