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2021年8月12日 (木)

神経質礼賛 1895.四番目の質問

 精神科の診察は主として問診である。時間の限られた外来診察でも最低限必ず尋ねる五つの質問がある。

① 調子(具合)はどうですか
② 眠れていますか?
③ 食欲はいかがですか?
④ 便通はどうですか?
⑤ 困ったこと(心配事)はありますか?
時には重度の難聴の方もおられるので、これを大きくプリントアウトした紙も用意している。さらに人によって、日中どんなふうに過ごしているか、仕事が休みの日は何をしているか、楽しめることはあるか、などの質問も加えていく。ワンパターンだけれども、このように聞いていくことを知ると、患者さんもあらかじめ、言いたいことをどこで言うか準備しやすい。症状の訴えは①か⑤で出てくる。

 この中で④は聞きにくいことだし大したことではないのでは、と思われる向きもあるだろう。精神科でよく使われる抗精神病薬や抗うつ剤の中には便秘をきたすものがあるから必ず尋ねる習慣になっている。また、一般的に高齢になってくると便がスッキリ出ないと悩む人が増えてくる。排便は毎日なくてはいけないというものではなく、2日に1回でも異常というわけではない。忙しくてトイレに行くタイミングを逃すと出にくくなる、ということはある。出ても出なくてもいいから大体同じような時刻にトイレに行ってみることをお勧めしている。それと、食事をしっかり摂ることも大切である。食物繊維の多いものを摂るよう心がけたい。

 神経質な人の場合、不眠だと体に障ると心配して不眠症になるのと同様、排便がうまくいかないことにこだわって下剤を乱用する人がたまにいる。当ブログごく初期の記事に「不問」と暗黙の共感(27話)、と題して、森田先生が下剤をやめさせた例について紹介したことがある。神経症ではないけれども、実際に私が担当している患者さんで、便にこだわり便秘薬を常に多量に飲んでいて、トイレを汚してしまうため、グループホームを追い出されて入院してきた人がいる。便が出たら看護師さんが便の量と性状を確認して記録し、客観的に便秘でなければ便秘薬は飲ませないという対応をした。本人は「便が出ない」と不服だったが、これを続けているうちに、頓服の便秘薬は不要となり、本人からの訴えもなくなり、看護師さんによるチェックもいらなくなった。

 神経質で別の問題が起きる人がいる。緊張すると下痢になるというものである。困ったことに私もその一人であり、人前での発表前に、お腹が急にゴロゴロし始め、「下り超特急」になってしまうのだ。これはどうしようもないので、下痢止めは飲まず何度かトイレに行って、自然に収まるのを待つ。緊張する場面を通り越してしまえば普段の状態に戻る。以前、家康本を書くにあたり、随分いろいろな書を読み漁った。家康も神経質人間でお腹が弱かったようである。本人は寄生虫のサナダムシ(条虫)が原因だとして、自分で調合した薬を飲んでいたけれども、明らかにストレスがかかった時の神経性胃腸炎・機能性の下痢だったと私は考えている。

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