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2021年8月 5日 (木)

神経質礼賛 1893.おじいさん記念日

 ローカル民放局のCMを見ていると、どうもなあ、と思うものがある。中古車販売会社のCM。店主が外で仕事をしていて、通りかかった女性に「ご苦労様」と挨拶されて、「おばあさん、気を付けてね」と返事をする。女性は見た感じ60~70歳位。普通だったら「奥さん」と呼ぶところで失礼な気がする。別バージョンでは、通りがかりの近所の小学生の女の子が「今日は給食のピーマン食べたよ」と言うと「そうか、えらいな」と頭をナデナデするというものもある。これもまずいでしょう。無神経な感じを受ける。

  おじいさん、おばあさんと呼ぶのは何歳位からだろうか。私が子供の頃はサラリーマンの定年は56歳だった。概ね60歳位が境だったろうか。今ではそもそも高齢者の数が増えて、おじいさん、おばあさん、という言葉自体、あまり聞かなくなったような気もする。昔の医療機関では高齢の患者さんを「おじいちゃん」「おばあちゃん」と呼んでいたが、現在はどこでも必ず「○○さん」と名前で呼んでいる。

 昨日、外来初診で来た女性。夫からDVを受けて実家に帰っていたが、精神不安定になっている。本人はなかなか診察室に入ろうとせず、両親に連れられてやっと入るが飛び出そうとする。すると母親が私を指さして「心配ないよ!この人はおじいさんだから大丈夫だよ!」と(!)。私にとっては、初めて「おじいさん」と呼ばれたおじいさん記念日になった。

 森田正馬先生もおじいさんと呼ばれた経験があり、対人恐怖で入院していた中学校教員の患者さんの日記に次のようにコメントしている。

 先日僕が前の廣場で小便してゐたら、だしぬけに、巡査から『オイオイぢいさん。いけないぢゃないか。』と叱られた。矢張り氣持は悪い。熱海へ行くと、其邊の子供等が、おぢいさんと呼ぶ。矢張りおぢいさんよりも、先生といはれた方が氣持がよい。しかし、こんな事を、さほどの問題とせずに、無視してゐるだけの事である。(白揚社:森田正馬全集 第4巻 p.143)

  気が付けば私も今年は森田先生の没年齢。おじいさんデビューである。

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コメント

そのローカルCM、時代を捉えていませんね。

「おじいさん記念日」ですか! 笑わせてもらいました。笑ったのは、先生のその表現であって、初対面で、先生のお齢ぐらいの人を「おじいさん」と呼ぶのは失礼です。でも、そのお母さんは娘さんのことで必死で、礼儀を考えている余裕はなかったんでしょうね。

私は、呼ばれ方に敏感なお年頃で、先生や森田先生のように大きく構えていられません。この間、(私にすれば若造に)奥さんと呼ばれてムカッとして、思わず「名前で呼んでください」と言ってしまいました。私は、名前がわかっている人は必ず名前で、場合によっては役職で呼びます。そのどっちもわからないときは、表情を柔和にするようにして「おにいさん」、「おねえさん」、「だんなさん」、「おくさん」です。あるいは、「失礼ですが」と前置きはして「あなたさまは・・・」と言うときもあります。

夏子 様

 コメントいただきありがとうございます。

 とても神経質が行き届いた対応で、そこまで気を配ることができれば立派です。相手がどう感じるか、言葉だけでなく表情まで注意しておられるのは大したものです。

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