神経質礼賛 1930.ホキ
現在の勤務先の病院食には週1回はホキが出る。それもどういうわけか私が当直する曜日の夕食に登場しやすい。スーパーの魚売場では馴染みのない魚だから、御存知の方は少ないだろう。見た目はタラのような白身魚である。それほどパサパサした感じはなく、比較的食べやすい。淡泊な味だから、バター焼き・マヨネーズ焼きや野菜あんかけやクリーム煮のような調理が合う。どんな魚なのか気になって調べてみる。ニュージーランドの深海で獲れる魚であり、黒っぽい細い体に大きなギョロ目が目立つ。冷凍の切身で輸入され、主として業務用に流通している。スケトウダラやメルルーサとともに白身魚フライとしてファーストフードや給食や弁当などでよく使われている素材だということだ。最近は乱獲のため漁獲量が減少し、アルゼンチンやチリで獲れる同族のデコラという魚がホキとして流通しているという話もある。
前の病院の食事によく登場した、赤魚(アコウダイ)とシルバー(銀ヒラス)について書いたことがある(1624話)。庶民的なアジ、イワシ、サンマ、サバといった馴染みの近海魚が高価になってきて、こうした輸入物の深海魚の利用が増えているのだろう。C国やK国の漁船が日本近海で乱獲しているということも言われる。南半球の深海魚にしても乱獲されるとこの先どうなることか。これからは魚の養殖を増やしていく必要がありそうだ。また、漁の際に売物にならないということで廃棄されてしまう魚を有効利用していくことも大事だろう。そうした地場の魚を学校給食に使っていく工夫も報道されている。「物の性(しょう)を尽くす」(350話)であって、海からいただいた命は無駄なくいただくのがよい。食材高騰のおり、栄養士さんたちはメニュー作りや仕入れに苦労しておられることと思う。いつもありがたく、残さずにいただいている。
最近のコメント