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2021年11月22日 (月)

神経質礼賛 1928.言い過ぎ・やり過ぎ・遣い過ぎ

 元気が出ない、やる気がしない、といった「うつ」の症状は誰しもなりたくないところである。それでは逆の状態はどうだろうか。気分が高揚し、次々とアイデアが浮かび、しゃべりまくり動きまくっても疲れ知らず。いいことずくめのように思われるかもしれない。しかし、それはそれで問題がある。以前書いたように(671話)躁状態になると、本人はいいけれども周囲に迷惑をかけやすい。職場や家庭で対人トラブルを起こしやすくなる。強気になって自分を押し通そうとするから言い過ぎて波風を立てやすい。余計なことをやり過ぎ人に干渉して嫌われる。気が大きくなって無駄遣いをしやすい。大抵、躁状態はいつまでも続かない。いずれはエネルギーが枯渇して、長いうつ状態に陥ることが多いのである。そうなると、躁状態の時に壊した対人関係や浪費による金銭問題が重くのしかかってきて、さらに落ち込みを深めるのである。躁状態を経験した人は、躁の時が自分のベストの状態だと誤解しやすい。本人にとって「ちょいウツ」位が客観的にはベストという場合が多いのである。

 調子が高い人・軽躁気味の人には「調子がいい時こそ飛ばさずに安全運転でいきましょう」「鏡を見るように、周りの人の言うことに耳を傾けましょうね」と常々アドバイスしている。また、躁状態では些細なことで怒りやすくなるので、対人関係を円滑に保っていく上で、森田の「感情の法則」(442話)を応用していくことも有意義である。躁うつとは言わないまでも、誰でも多かれ少なかれ気分の波はあるものだ。感情の法則はほとんどの人に当てはまることである。

  今回の森田療法学会1日目のケース・スーパービジョン、2日目の研修症例セッションともにⅡ型双極性障害(時々軽い躁状態を伴ううつ)ともパーソナリティ障害あるいは発達障害とも受け取れるケースで臨床心理士さんの発表だった。いずれの症例も言い過ぎ・やり過ぎ・遣い過ぎの面があって職場や家庭での人間関係がうまくいっておらず、それがまた症状を悪化させているように思えた。もちろん支持的精神療法をベースにせざるを得ず、森田療法の話はせずに森田療法的アプローチを入れているのではあるけれど、感情のコントロールに感情の法則を応用して損はないし、症状を追いかけることをやめた時に得られる心の自由(症状不問)をもう少し強調してもいいのではないか。指導・コメントする先生からもそれらしい指摘はなく、何だろうなあ?・・・というのが正直な感想である。

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コメント

 内科でも整形でもどの診療科でもそうですが、特に精神科はどんなお医者さんに遭えるかがすごく大きいと思います。
 私は今まで素晴らしいお医者さんに診てもらったことがあるし、先生のブログも知り時々アドバイスまで頂けるので、幸運です。

夏子 様   四分休符先生

夏子様に同感です。
私は現在、内科の主治医と心療内科の、家族の誰よりも私の事を知って頂き、勿論症状の事もよく解って頂いている先生にかかっていますけれども、このお二人の先生以外にも四分休符先生という心療科の先生にかかっている、と思う事がよくあります。ですから、三人の先生。

四分休符先生には医療費を支払わずに診て頂いているような気持ちになります。申し訳なく、有り難くも感じています。

yukimiya様

コメントを頂き、ありがとうございます。

yukimiyaさんは、おそらく私よりもお若いでしょう。お健やかに、お幸せにお過ごしになられることを願っています💙 (精神科へ通うような状況でも、健やかであることは十分可能です)

夏子

夏子 様

 コメントいただきありがとうございます。そう言って頂けると励みになります。他愛ないことばかり書いていますが、森田正馬先生の素晴らしい教えを多くの人に知っていただきたい、そして何の変哲もない日常生活の中によりよく生きるためのカギがあるのだということをお伝えしたいと常に思っています。

yukimiya 様

 コメントいただきありがとうございます。

 勤務先では午前中だけで30人位の外来患者さんを診なければなりませんので、初診の方には30分以上かけますが、それ以外の方は一人当たりせいぜい5分から10分位しか時間が取れません(日記指導の人は一番最後に来てもらって20分位時間を取ります)。自立支援医療や精神保健福祉手帳の診断書、年金診断書などの書類を作成する際に古い紙カルテを取り寄せて読んで、病歴の要約を電子カルテに書き込んで、その患者さんをより理解する努力はしています。
 yukimiya様が普段受けていらっしゃる治療に加えて、当ブログが何かのお役に立てれば幸いです。

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