神経質礼賛 1933.緊張と実力発揮の関係
12月4日付毎日新聞夕刊に「緊張すると実力出ない?」「エースはいつでも心拍数安定」という見出しの興味深い記事が載っていた。NTTコミュニケーションズ科学基礎研究所のスポーツ脳科学グループの研究で、選手の試合中の緊張度を把握するために、運動中に汗をかいている状態でも心拍数が計測できる装置を組み込んだアンダーシャツを東レと共同開発した。都市対抗野球に出場したNTT東日本とNTT西日本の交流試合でそれを選手たちに着てもらい、映像による動作解析と組み合わせて分析した。新人選手は練習時の心拍数が120程度だったのが、試合中は瞬間的に180まで上がり、パフォーマンスが低下した。エース級のベテラン投手は練習中から150~160と高値で安定し、試合が進んでも変わらなかったという。
緊張する時、「心臓がバクバクする」という表現が良く使われる。小心者の私もしばしば体感するところだ。心拍数は運動量だけでなく緊張と強い相関関係があると考えてよさそうだ。当ブログでは初期から緊張を扱ってきた(4、5、49、453、910、1445話)。誰もが本番では緊張する。心拍数と血圧を上昇させて、戦いに適応するのは自然なことなのである。今回の記事からすると、エース級の選手は常に緊張状態にあるけれども、緊張をうまく持続させて実力を発揮している。緊張しながらの平常心と言えるかもしれない。一方の新人選手の場合、緊張度合いが大きく変動する。ピンチの際に心拍数が120から180にまで上がったら、それこそ心臓バクバクとなって、緊張を強く意識して注意が自分の方にばかり向いてしまうから、パフォーマンスの低下を招くことになる。「緊張してはいけない」「緊張しないようにしよう」と不可能の努力をしていたら、ますます緊張を高めて悪循環を招き、逆効果である。緊張はどうにもならないのだから、そのままに放置して、その場その場で必要な事とやっていく森田式がやはりよさそうである。
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