神経質礼賛 1934.不眠のお悩み
一昨日、当直中に事務当直からの電話が鳴ったので緊張が走る。私はいつも精神科救急担当日の当直なので、警官や保健所員が暴れている人を連れてきて入院ということがある。それに備えて、事務当直も精神保健福祉士の資格を持ったベテランのケースワーカーである。通院中の方で不眠の訴えがあるけれども今週また外来診察の予約が入っている人なので、その時にまた相談してみたらということで一旦話がついた。しかし、その後、本人が連絡なく直接来院してきているので診て欲しいとのことだった。
調べてみると、普段服用しているのは少量の抗うつ剤と不眠時頓服のゾピクロン(アモバン)という薬だった。工場で働いている人で、ひどい腰痛のため3週間仕事を休んだ。先週からまた仕事に復帰してよく眠れていた。ところが、休みの土日から急に眠れなくなってしまった。仕事には行っているけれども昼間眠くて仕方がないとのことだ。アルコールは飲んでいない。特に趣味はない。いろいろ話を聞いてみると、他の社員に比べて自分の仕事が遅いのではないかといつも気にしているとのこと。眠れないと次の日の仕事に支障が出るから、寝つけない時は0時とか1時にゾピクロンを飲むけれどもそれがいけないのか、とも言う。
神経症性の不眠症(60・345・463・477・527・1046・1273・1300・1538話)であり、眠れさえすればすべて解決する、という「防衛単純化」(603話)の機制が働いているようにも思える。睡眠薬は寝る直前に服用するのが好ましいが、ゾピクロンの作用時間は4-5時間程度なので、0時や1時に服用しても次の日の仕事に差し支える可能性は低いと説明。眠ろう眠ろうとすればするほど逆効果で眠れなくなる。眠れないと思っても横になって疲れを取ればいいのだ位に考えて、眠れない原因を分析しない方がかえっていいですよ、と話をすると「わかりました」と帰って行かれる。森田療法的アプローチを広く一般の方々に知っていただきたいとつくづく思う。
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