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2022年3月 3日 (木)

神経質礼賛 1961.朝寝坊をなおすには

 睡眠の悩みと言えば、不眠症。なかなか寝付けない入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒がある。神経質の人に多いのが入眠困難であり、中には自分は一睡もしていないと主張する人もいる。しかし、客観的にはどこかで眠っているものである。眠れないと明日に響く、何とか眠らなくてはいけない、と思い込んでいるから不眠に悩むのである。
 一方で朝起きられなくて困る、という人もいる。森田先生のところに「幼少時より人一倍の朝寝坊で困っている」という38歳男性の実業家から相談の手紙が届いた。それに対して森田先生は次のように回答しておられる。

 朝寝の事でも、単に朝寝其事が、良いも悪いもありません。人生の目的希望なく、何の用事も仕事もない人ならば、幾ら朝寝をしたとて差支へのない事です。只吾々には、したい仕事が思ふやうに出来ないから、朝寝が都合の悪い事になるのであります。即ち吾々は、翌朝はあれをしよう・これもしなければならぬ、と其仕事其事のみを、先へ先へと念がけ、あせり急いで居れば不知不識の間に、醒むれば必ず床を蹴つて起るやうになるものであります。
 之に反して、所謂理想主義で、実際の事実を離れ、机上論的に抽象的に、朝寝は悪徳であるとか、金持になれないとか考へて、自分を其理論に当てはめようとするから、余の所謂「思想の矛盾」となり、ウトウトと眠る心地よい氣分に、心が奪はれるやうになるのであります。更に其上に実行力なく・意志の弱い事を、抽象的に省み悲観して、益々卑屈となり、愈々元氣の発動を抑圧するやうな結果になるのであります。
 尚ほ臥褥時間に就ては、七時間以上も寝過せば、俗に「寝くたぶれる」といふやうに、身体疲労感の惰性によつて、益々起きられなくなります。猶ほ臥褥時間は、都合によりては、之より少なくとも宜しく、其代りに、昼間三十分・乃至一時間以内、横臥休息してもよく、睡眠時間などは、何時も顧慮する必要はありません。(白揚社:森田正馬全集 第7巻 p.399)

  この手紙から1か月後には朝寝の習慣がから脱することができたという感謝の手紙がきたとのことである。早寝早起きをしなくてはいけない、は「かくあるべし」である。この人のようにそう思い込んで、自分はダメだと悩む人もおられるかもしれない。学校や仕事や家事に支障がなければそれでよい。必要があれば起きるのだし、どこかで寝ているのだから、眠りにあまりこだわる必要はないのだ。

 

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