神経質礼賛 1970.「酒と肴」企画展
駅前地下道の壁には地元企業やクリニックの広告が掲示されている。裏側から照明された透過型だから目に付く。広告主が足りないため、空きスペースもある。それを埋めるように県や市の広告もある。電球色のおでん酒場の絵に「しずおかの酒と肴」と書かれているものがあって何だろうと思ってよく見たら、ふじのくに地球環境史ミュージアムの企画展の広告だった。この博物館は廃校になった県立静岡南高校の建物を改装したものだ。以前からどんな所なのか興味があったので行ってみることにした。
ミュージアムは駅から車で15分ほど。駿河湾を見下ろす丘陵地にある。元が高校だから靴を脱いでスリッパを履くのかと思ったら、靴のままで入館できた。企画展は入場料600円、常設展示だけなら300円、一部の展示とキッズルームと図鑑カフェだけなら無料ということだ。展示のメインは県内に生息する動物の剥製・骨格標本、昆虫の標本、岩石・化石標本である。どの部屋にも解説してくれる人がいる。小学校で生徒たちを連れて来ると勉強になりそうだ。今までこうした分野の展示がある博物館は県内になかったからこれは良い。一方、今回の企画展では「酒や肴の原料に焦点を当て、料理や醸造の背景にある生物多様性を紹介する」と謳っているものの、展示内容は少々薄く、まるで高校の文化祭の展示に思えてしまう。例えば駿河湾だけに生息し最近では急激に漁獲量が減っている桜エビの生態について突っ込んだ解説をするとか、「しずおかおでん」の特色の展示とか、日本酒やビールの製造工程の展示とかがあっても良かったのではないだろうか。県内産の地酒の瓶が展示されているのは酒好きにとってはうれしいけれども。せっかく面白いテーマなのだからもう一工夫欲しい。
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