神経質礼賛 2007.更年期のお悩み
40代や50代の女性患者さんで更年期障害ではないかと悩んでいる方をよく見かける。更年期とは通常45~55歳位の期間を指すとされる。女性の場合、閉経に近づいていくと女性ホルモンのエストロゲンが減少して種々の体調や精神的不調が生じやすい。しかも、この時期は例えば、子供が高校を卒業して進学や就職により巣立っていく、そろそろ親の介護問題が発生する、というように大きな生活環境の変化も重なりやすく、そうした影響も考えられる。頻度の高い症状は、①肩こり、②疲労感、③頭痛、④のぼせ、⑤腰痛、⑥発刊、⑦不眠、⑧イライラ、⑨皮膚掻痒感、⑩同期、⑪気分の落ち込み、⑫めまい、というように実に多彩である。婦人科も受診してホルモン療法あるいは漢方の処方で改善する人もいれば、なかなかよくならない人もいる。逆に、更年期障害ということで治療しているが、うつ病の疑いがあるとして婦人科から紹介されて精神科を受診される方もおられる。婦人科は受診していないが、「命の母」や「養命酒」といった市販の生薬を飲んでいるという話もよく聞く。
そうした治療や対策が奏功すればよいが、しなかった場合どうしたらよいだろうか。そこは森田療法的アプローチの出番である。症状を追求しているとモグラ叩きになりやすい。自分の体の方に注意が向いていると敏感になって、ますます新たな症状を見つけやすくなるのである。それよりも、健康な部分を伸ばすことに目を向けたい。症状は、「まあこんなもので仕方がない」ということで、仕事や家事で工夫をし、楽しみを見つけて行動していくことである。生活の中に短い休符をいれて一息つくのもよい。休符があって音符が生きるのは音楽と同様である。
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