神経質礼賛 2013.森田療法概論のアンケート
先月、職場の教育講義を依頼されて、森田療法概論ということでお話した。参加できなかった方は後日、動画を見て下さった。このほど117人のアンケートのまとめをいただいた。森田療法の内容を知っているという人が22人(18.8%)、名前だけは知っているが63人(53.8%)、聞いたことがないが32人(27.4%)だった。精神科病院の職員であるから、通常の方々よりも森田療法の名を見聞きする機会があるかと思う。内容も知っているという人をさらに増やしていきたいものである。
感想の中で目に付いたのは、患者さんからの言葉にめげそうになる時の対処法を知りたい、自分の気持ちを保つ方法を知りたい、といった精神科病院ならではのコメントだった。精神科病院では精神症状が重度で病識や治療意欲の欠如した人に対して、その人の意に反して治療を行わざるを得ない場面がしばしばある。そうした時に暴言や衝動行為に晒されることになりやすい。私自身も「お前を殺してやる!」「訴えてやるからな!」と怒鳴られたり、足蹴りされたり叩かれたりすることがある。正直言って嫌な気分になる。しかし、その人が良くなっていくと報われたという気持ちになるのである。
森田先生も30歳の時には呉秀三教授の指導のもと、巣鴨病院(現・都立松沢病院)で仕事をしていたが、貴族や官僚の子弟である患者二人から絶えず不平と難題を持ちかけられて辞職を考えたと書いている。一人は興奮して薬瓶を投げつけてきてそれが壁に当たって粉々になったり、森田先生を組み伏せて体を叩きまくったりということがあった。しかし森田先生は抵抗せずに毅然とした態度で臨み、かえって尊敬されるようになったという。
そうした場面に遭うと、怒りや憤りの感情が激しく湧き上がるのは仕方がない。それを直接なくそうとしてもなくなるものではない。「感情の法則」(442話)の通りであって、時間とともに自然に収まってくるのだから、嫌な気分を早くなくそうと焦らずそのままにして、必要な行動をしていけばよいのである。
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