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2022年9月18日 (日)

神経質礼賛 2027.メタノール

 D製薬の研究員が妻にメタノール(メチルアルコール)を飲ませて殺害した疑いで逮捕されるという事件が起きた。メタノールは小学校の理科実験で用いられていたアルコールランプの燃料としておなじみである。学校で使われていたメタノール液はピンク色に着色されていたような覚えがある。そして、先生から「有害だから注意するように」とも教えられていた。私は学研の雑誌「科学」だけでは飽き足らず、理科実験の図鑑を見て家でいろいろな化学実験をするために実験道具や薬品を持っていて、アルコールランプもあった。劇薬や燃料用メタノールは子供には売ってくれないので、父に頼んで買ってもらっていた。メタノールはプラスチックの瓶に入った無色透明の液だった。今にして思えば、小学生が一人でずいぶん危険なことをしていたものである。アルコールランプは今でもコーヒーマニアの人が自宅で使っている例があるらしい。メタノールが4分の3、エタノールなどが4分の1含まれる燃料用アルコールが通販でも売られていたが、この事件を受けてか現在は販売停止になっている。購入者の書き込みを見ると、「消毒用アルコールと間違えて買ってしまいました」というものもある。飲めるアルコールは酒税がかかって高価だが、燃料用は安いので誤って買ってしまう例もあるのだろう。

 戦前の日本では、粗悪な密造酒にメタノールが混入していて、飲んだ人が失明したり死亡したりすることがあった。近年でも海外ではそのような事例があるようだ。しかし、今回の事件の報道で、その強い毒性に驚いた。わずか10ml摂取しただけで失明のおそれがあり、個人差はあるものの30~100mlが致死量だという。酒に含まれるエチルアルコール(エタノール)との味の違いはわかりにくいというから、故意にメタノールで作られたカクテルを1~2杯飲まされただけで死亡するおそれがあるというわけである。

 病院で使われている消毒用アルコールは主成分のエタノールにイソプロピルアルコールを加えたものでメタノールのような毒性はない。しかし、患者さんが誤飲する危険性はあるので、配置場所やその管理には十分に注意を払う必要がある。

 

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