神経質礼賛 2036.マイナンバーカード義務化
実は私はまだマイナンバーカードを作っていない。番号が記載された緑色の通知カードで用が足りているし、メリットを感じないからだ。今年の9月までに作って、健康保険証や銀行口座と紐づけるとマイナポイントをもらえるという通知が送られてきたが放置していた。手続き済みの人は累計でまだ6割程度らしく、マイナポイントの制度は今年の12月まで延長になっている。3日前のニュースで2年後の秋には現在の保険証はなくなってマイナンバーカードに一本化されるという話だ。事実上の義務化である。そうなってくるともう作らざるを得ない。
すでにマイナンバーカードが普及している隣のK国では情報漏洩が問題になっている。日本では情報漏洩の心配はないと盛んに宣伝しているけれども、トラブルは必ず起こりうる。それに、すべてがマイナンバーカード処理になって、システムダウンが起きたらどう対処するのか。現に某メガバンクではシステムダウンを繰り返しているではないか。災害などで停電発生時にはどうするのだろう。一昨日、外来の患者さんから「ここではいつから保険証がマイナンバーカードになるんですか?」と聞かれたが、「まだ準備中です」としか答えようがなかった。医療機関側の準備も追い付いていないのが現状だ。
最大の問題点は、高齢者や体の不自由な方々が、マイナンバーカードを取得し、管理していくのは困難な点だと思う。郵送で作成手続き自体はできても、役所の窓口に本人証明できるものを持って受取りに行かなくてはならない。施設入所中、あるいは長期入院中の人にそれを強制しても無理である。また、作ったらそれで終わりではない。有効期限10年だから、新しい写真でまた更新しなくてはならないのだ。電子証明書関係については5年で更新が必要になる。そして何種類ものパスワードを用意して管理しなくてはならない。パスワードがわからなくなる人が続出すると思われる。IT関連業界は利益を上げるのだろうけれど、立場の弱い人への配慮が欠如した、独りよがりの制度だ。ポイントという餌を撒けば食らいついてくるだろうとあなどられているのも腹立たしい。「とかくこの世は住みにくい」と漱石の言葉を思い浮かべながらも、神経質としてはデジタル社会を何とか生き抜いていくとしよう。
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