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2022年10月 9日 (日)

神経質礼賛 2034.うへて見よ 花のそたゝぬ 里もなし

 現在、出光美術館は日時予約制になっている。前話に書いた「仙厓のすべて」を見にいくのに、往復のコロナ感染リスクを考えて、高速バスで移動し、東京駅から美術館まで歩くプランを考えた。バスが渋滞で遅れることも計算に入れて、午後1時半~2時の枠でネット予約を取った。JRの高速バスに乗るのはほぼ30年ぶりである。本数はずいぶん減ってしまっていたし、駅の営業所も朝は閉まっていて乗車券が買えなかった。9:20発のバスに乗る。バスは空いていた。案の定、30分以上遅れて東京駅に到着し、日本橋口で降ろされる。まずは八重洲口の高速バス乗場で帰りの乗車券を買ってから、歩いて美術館へ向かう。あいにくの雨に冬のような寒さである。1時半ぴったりに美術館に着いた。プリントアウトしたQRコードを係員に見せて入館。皆さんスマホ画面を見せて入館しているのに比べると無様だけれどもこれでよい。

 TV番組「ぶらぶら美術館」で予習していたので、効率よく見ていくことができた。今回は仙厓の代表的な画が90点あまり展示されていた。今までの企画展で見せてもらった名品たちとも再会する。仙厓は高齢になっても人から頼まれると書画を描いていた。あまりにも要望が多いので絶筆宣言の石碑を立てるが、それでも頼まれると断らなかった。その石碑をさらに描いているのも面白い。番組で紹介されていた仙厓最後のメッセージ・・・1837年に88歳で亡くなる直前に描かれた牡丹画賛をじっくり見た。牡丹の花の画に「うへて見よ 花のそたゝぬ 里もなし 心ろからこそ 身は畢(つく)しけれ」という文が添えられている。神経質人間は、いいアイデアが浮かんでも「どうせダメだろう」と考えてなかなか実際の行動に移さない。仙厓は「とにかくやってごらんよ。工夫と努力次第で何とかなるよ」と背中を押しているのだ。おそらく出光佐三もこの画に励まされて行動していたのだろう。森田先生の言葉に「自然に服従し境遇に従順なれ」(828話)があり、「置かれた場所で咲きなさい」という渡辺和子さんの言葉もあるが、仙厓のこの言葉はさらに積極的である。もう一つ印象に残ったのが双鶴画賛に書かれた「鶴ハ千年 亀ハ萬年 我ハ天年」という言葉だ。人間誰しも長生きしたいと思うものだが、天から与えられた命を全うして生き尽くせばよいのだ、そう読める。仙厓も森田正馬先生も「死にたくない、死にたくない」と言って死んでいった。それは少しでも人の役に立ちたい、という気持ちから出たもので、ただ長生きすればいいということではない。いいものを見せてもらった。

 展示室を後にすると目の前には皇居のパノラマが広がる。残念なことに、大勢座れたソファは感染防止のため座れるのは4席だけになり、無料の給茶機も止められていた。それでも緑豊かな絶景を眺められるのはうれしい。今回はどこにも立ち寄らずにこの展示を見るためだけに一日かけたがとても価値がある一日だったと思っている。

 

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